加地亮、カフェ経営者が説くコロナ前向き思考 サッカー元日本代表は「走りながら考える」

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関西圏では3月に入って新型コロナ感染者が急拡大し、吉村洋文大阪府知事が3月下旬の3連休に大阪―兵庫間の往来自粛を呼びかけたころから危機感が高まり始めた。

「CAZI CAFE」は3月29日の定休日から休業。4月7日の緊急事態宣言発令後の14日から加地さん、オーナーの妻・那智さん、社員2人の4人体制で昼のテイクアウト営業に踏み切った。主婦や学生など総勢15人いるアルバイトには休業補償を支払って一時帰休してもらう形を取り、その費用は大阪府からの休業要請支援金(100万円)を活用しながら、何とか工面した。

4月14日からテイクアウトのお弁当を販売している(写真:加地さん提供)

だが、建物や土地代を含めた家賃や食材費、光熱費の支払いは待ったなし。4月の売り上げは前年比で7割減、5月も同4割減という厳しい状況に陥っただけに、加地さんも資金繰りに奔走している。

「まず借入金(実質無利子の特別貸付)を確保できるように、役所や金融機関などに足を運びました。

その他にも持続化給付金(中小法人等は200万円)、休業要請支援金(中小企業は100万円)、雇用調整助成金(1人当たり日額上限1万5000円)、小学校休業等対応助成金(1人当たり日額上限1万5000円、保護者に有給休暇を取得させた事業主への助成)などがありましたけど、全部自分でやりました。

何度もハローワークに通って、印刷して、手書きで作成しましたね。わからないことが山積みで、用語をネットでコツコツ調べたりした。難しくて腹が立つことも結構あったけれど(苦笑)、何でも前向きに取り組むのが僕のモットー。すべての申請が終わったときにはホッとしました」

新しい店内営業の形を模索していかなければいけない

努力の末に助成金や支援金を受け取り、無利子で借り入れができたとしても、今後の経営がこれまで通りにいくかは何とも言えない。コロナ禍に見舞われる前の「CAZI CAFE」は昼も夜もカフェと離れの座敷を含めた全50席が常時満員になり、1週間でのべ500人が訪れる人気店だった。

2011年7月のオープンから3年目には軌道に乗り、ここ数年は順調な経営が続いていただけに、今回のコロナショックは予期せぬ出来事というしかない。

7月に店内飲食を再開しても、コロナ対策で3密を避けるために席と席の間隔を空ける必要がある。となれば、席数も当然減ることになる。加地さんの試算では、半分の25席しか稼働させられないという。

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