マンション管理組合のコロナ対策何ができたか 2波3波に備え今のうちに何ができるか総点検
日常の感染症対策については紹介したとおりだが、マンションならではとして最も感染リスクが高いと考えられるのは、理事会や総会の開催だ。密閉空間に多数が集まって、意見交換をするわけだから、これまでどおり会議室に集まって実施するのはリスクが大きい。
筆者のマンションでは、5月に管理組合の総会を予定していた。緊急事態宣言下は、総会の議案書を作成する渦中にあった。総会自体を延期することも選択肢にはあったが、収束の時期が読めないこと、予算を超えた修繕工事などをこれ以上事後承諾では進められないこと(緊急性の高いものは実施)などから、最終的には総会を開催することにした。
筆者のマンションでは管理組合のIT化が進んでいないので、いまだに掲示や書面を投函する形で周知をしている。ITを活用する工夫はすぐにはできないので、総会の出席者を少なくするために、通常は総会の欠席者に提出を求める「委任状」か「議決権行使書(議案ごとに賛否を記入してもらうもの)」を積極的に提出してもらうことで、書面による「議決権行使」の参加を促すことにした。
議案を大幅に減らすことも検討したが、当期理事会でアンケートを取るなどして方向性を固めた重要議案もあることから、次期理事会に持ち越すのは適切ではないと判断して、必要な議案はすべて議決の対象とした。
苦労した点
大変だったのは、質疑応答ができないことから、早めに総会議案書を配布して、事前に質問を受け付け、議決権などの提出の締め切り前までに回答を作成して全戸配布したことだ。最終的に、総会には数名の出席者がいたが、少数なのでマスク着用のうえ距離を取って座ってもらい、短時間で終わるように議事を進めて終わることができた。
さて、総会および理事会ついては、公益財団法人マンション管理センターがQ&Aを公開している。筆者のマンションのように、総会を議決権行使書または委任状により議決権行使をしてもらう方法や総会を延期する場合の注意点などがまとめられているほか、理事会や総会をオンライン会議等で開催したり傍聴したりする場合の注意点なども公開している。6月はマンションの管理組合の総会開催が多い時期なので、参考にしてほしい。
筆者が深く考えていなかったのは、マンション内に感染者が発生した場合に、管理組合はどう対応したらよいのか?ということだ。管理会社に確認したら「保健所の指導に従う」というものだった。
たまたま「SUUMOジャーナル」から、先進的なマンション事例を取材してほしいとオファーがあり、紹介してもらったマンションの事例を伺うことができた。
基本的に、マンション内に感染者が発生したことについて、管理組合は知らされる立場にないという。ただし、同マンションでは、高齢者の居住者も多いことから、感染したことを管理組合に知らせてもらい、管理組合が自主的に共用部分の消毒を行うとともに、自宅待機中の本人や家族のために生活物資を届けるなどの支援をする体制を整えようとしていた。
これまでの活動内容が、管理組合員や居住者に信頼されてこそできることだろう。やろうと思えばここまでできるという事例だ。
一方で、個人情報保護の問題がある。最も避けなければならないのは、マンション内の感染者が特定されてしまい、バッシングに遭ってしまうことだ。こうしたリスクがあることから、感染者への関与になかなか踏み切れない管理組合も多いことだろう。
マンション管理組合の新型コロナウイルス対策としては、予防や注意喚起などでは対応できることがあるが、感染者対応についてはかなり難しいということだ。
新型コロナウイルスの第2波、第3波に備えて、マンションに住んでいて、どこまで管理組合が対応してくれるか気になっている人は、ぜひ参考にしてほしい。
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