妻への小遣い交渉「下手な人」「上手な人」の大差 一番やってはいけないのは「勝ち負け」を争う事

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交渉を勝ち負けの対立構造でとらえると、交渉相手は敵になってしまいます。そして、多くの場合には、駆け引きにより、合意を勝ち取ろうとします。

① 脅し
「今後、俺のお小遣いは、●●円にする。もし、文句があるなら、通帳を取り上げて、以降お金の管理は俺がする」
② 取引
自分の家事の分担を増やすなど、取引材料を用意して駆け引きする。「お小遣いを上げてくれたら、週末の夕食は、僕がつくるようにするよ」
③ 自尊心との取引
妻を褒め、寛容なところを賞賛し、お小遣いアップに同意したことにより、自尊心を満たすよう誘導して、取引をする。

①では今後の結婚生活に支障が出ますし、②もいつまで続けられるかわかりません。③で成功するためには、かなり高度なロジックや話術が必要でしょう。

交渉の「正しい仕方」とは?

では、今度は、相手を自分が陥った状況を解決するためのパートナーであると考えて交渉してみましょう。

夫「お小遣いについて相談があるんだけど」
妻「金額アップってことならムリだよ。生活費、いまでもギリギリだもん」
夫「そうだね。きみが節約とかして、がんばってくれてるのはわかってるよ。いつも感謝してる。ただ、自分が贅沢しようという理由じゃないんだ。俺も部下を持つようになって、多少おごってあげなくちゃいけないし、いまのままだと少し足りなくなることがあるんだ。足りなくなりそうなときだけ、追加してくれるだけでいいよ」
妻「そっかぁ。部下を持つと大変なのね」
夫「うん。でも、その代わり、どこかで節約できそうなところを協力したい。スマホの契約内容とかを変えれば、もっと安くなるかな? どこで節約できそうか、主婦のきみのほうが、いいアイデアがあるだろうから教えてほしいな」
妻「たしかにスマホとか、いまは安い機種とかプランでもいいのが結構あるって聞いたことあるし、私のも含めて見直してみれば、節約になるかもしれないね。調べてみる。とりあえず、いま足りない分を渡すね」
夫「ありがとう」
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このように、相手をパートナーとして考えると、異なる観点から、この交渉をとらえることになります。

この問題は、収入と支出のバランスの問題です。つまり「家計に入金されるお金から何に支出するか。そのうちいくらを、夫のお小遣いにするのか」という2人の生活設計の問題なのです。

そう定義し直すと、交渉もまったく異なる様相を呈してきます。全体の収支の中でのお小遣いの重要性について話し合う、という方向性になってくるでしょう。

お小遣いアップの理由をきちんと説明し、相手の立場を尊重して、反論や考えもきちんと聞き、2人で「よい解決法はないか?」ということを話すことができます。2人で協力して考え出した結論ならば、お互い納得することができるでしょう。

谷原 誠 弁護士

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たにはら まこと / Makoto Tanihara

1968年、愛知県生まれ。明治大学法学部卒業。91年司法試験に合格。企業法務、事業再生、交通事故、不動産問題などの案件・事件を、鍛え上げた質問力・交渉力・議論力などを武器に解決に導いている。現在、みらい総合法律事務所代表パートナー。ニュース番組等の解説でも活躍する。
著書に『「いい質問」が人を動かす』『気持ちよく「はい」がもらえる会話力』(以上、文響社)、『弁護士が教える気弱なあなたの交渉術』『雑談の戦略』(以上、大和書房)など多数ある。

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