新型コロナウイルスの防疫対策の緩和が進むとともに、中国のサービス業の景況感が大きな改善を示し始めた。6月3日に発表された5月の財新中国サービス業経営活動指数(サービス業PMI)は55と、4月の44.4から一挙に10.6ポイント上昇。好不況の判断の目安とされる50を4カ月ぶりに上回り、2010年11月以来の高水準を記録した。
サービス業PMIに先立って6月1日に発表された5月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は50.7と、4月の49.4より1.3ポイント上昇して同じく50を上回った。製造業とサービス業のPMIがそろって50を超えたのは、中国で新型コロナの流行が拡大した2月以降で初めてだ。
雇用に明るい兆しも、経済正常化にはまだ時間
5月のサービス業の新規受注指数は内需の回復に牽引されて縮小トレンドを抜け出し、2月以降で初めて拡大トレンドに転じた。一方、サービス輸出の新規受注指数は外需の弱さを反映し、過去2番目の低さを記録した4月よりは改善したものの、引き続き縮小傾向を示した。
雇用にも明るい兆しが見えてきた。サービス業では5月も雇用の減少が続いたが、減少幅は2月以降では最低となった。製造業でもリストラのペースが穏やかになりつつあり、雇用情勢は総じて回復に向かい始めている。
とはいえ、サービス業の先行きを楽観するのはまだ早い。「5月のPMIはサービス業が製造業を上回る改善を見せたものの、新型コロナの負の影響を帳消しにするにはほど遠い。経済活動がコロナ以前の水準に戻るには、まだ相当な時間がかかるだろう」。財新グループのシンクタンクCEBMのシニアエコノミストを務める王喆氏は、そうコメントした。
(財新記者:沈凡)
※原文の配信は6月3日
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