「携帯電話し放題」の英地下鉄、ツバ飛散対策は? 車内でマスク着用のほか自転車通勤も奨励

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ロンドン地下鉄駅での「マスク着用」の奨励ポスター。欧州でマスク普及とは、少し前までは考えもしなかった=2020年5月、ハマースミス駅(筆者撮影)

数万人もの新型コロナウイルス感染による死者を出した欧州は今、「第2波」の到来に怯えながらも、経済回復に向けた動きに踏み出している。

「ソーシャルディスタンス」を守りながら、仕事に出たり、余暇活動を過ごしたりする「コロナと共に過ごす日々」における行動プランが求められ、日本でも課題になっているように、コロナ感染予防と人々の通勤通学の足の確保をどう両立させるかが頭の痛い問題となっている。

そんな中、欧州各国でマスクの着用を奨励する動きが広がってきた。

公共交通関係者に多くの死者

日本での新型コロナの感染拡大は今のところ、欧米諸国のように爆発的な発生が起こらずに済んでいる。その理由として挙げられるのが、アジアでは一般的なマスクの着用だ。また、「日本では、電車の乗客が静かに会話をしないで乗っているから」という俗説もある。

一方、欧州を含む多くの国々では、公共交通機関の車内で携帯電話での会話は基本的に自由だ。今回のコロナ禍では、乗客同士の会話はもちろん、こうした携帯電話での会話によるウイルスの拡散も気になる。街中でも他人のおしゃべりがとても気になり、話をしている家族などを見かけると露骨に逃げる人も少なくない。

ロンドンでは公共交通機関関係者の犠牲が非常に多い。6月2日までにロンドン交通局職員のコロナによる死者は43人にまで達したほか、市内の主要ターミナルであるヴィクトリア駅の案内担当女性が「コロナ感染」を自称する男になじられ、唾を吐きかけられた結果、最終的にコロナで亡くなるという事件もあった。

その後、監視カメラに映ったビデオ映像から犯人とされる人物が特定され、抗体検査も行われた。結果的にはこの人物にコロナ感染の形跡はないと判定されたうえ、犯罪として立件するほどの行為ではなかったとして、捜査は終結した。だが、最近もタクシー運転手がコロナ感染を自称する客に唾を吐かれて死亡する事件が起きている。

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