「携帯電話し放題」の英地下鉄、ツバ飛散対策は?

車内でマスク着用のほか自転車通勤も奨励

そこで、イギリス運輸省は時差通勤や引き続きのテレワークに努めるよう求める一方で、「可能な限り、徒歩か自転車で通勤を」と強く要請している。地元タウン誌の編集部も「東部エリアで地下鉄に乗るくらいなら、自転車通勤がはるかに安全」と地図まで作って自転車へのシフトを奨励している。

自転車利用者を増やす政策は、ジョンソン首相がロンドン市長だった2000年代後半から行われており、当時としては世界でも例を見ない大規模な公営レンタサイクル網を作り出した。今でも多くの市民に(現首相の名を冠して)「ボリスサイクル」と呼ばれ親しまれているレンタサイクルがコロナ禍で再注目されている。

自転車通勤者の便宜を図るため、周辺部から都心への自転車道の整備が進められているほか、道路のあちこちにできている「穴」をふさごうと補修が進められている。

歩道には「2m空けよ(KEEP 2M APART)」との文字が書かれた場所も現れた(筆者撮影)

また、ソーシャルディスタンス確保のため、人通りの多いエリアの歩道は、車道幅を潰してでも歩道幅を広げようと強引に突貫工事が進められている。英運輸省は交通対策に総額20億ポンドを予算化、当面のコロナ緊急対応で2億5000万ポンドを投入すると決めている。

ロンドン交通局は地下鉄車内を満員にせず、車内で規定のソーシャルディスタンスが確保できる状態で走らせることを目標としている。徒歩や自転車通勤の奨励により、電車利用者を減らす努力を行っているわけだ。

また、ロンドンのアイコンとも言える「赤い2階建てバス」は、本来の定員は上下層合わせて約90人だが、これを20人程度で満員扱いにしたいとの考えも示されている。

「新しい暮らし」を模索

実際に地下鉄に乗ると、ラッシュにかかる夕方の時間帯でも1両当たり15人程度の利用しかないことが多い。それでも、駅に止まるたびに車内を覗き込んで、少しでも乗客が少ない車両に回ろうと心がけている人を見かける。

4万人もの新型コロナウイルス感染による死者を出しながらも、経済復活に向けて新たな一歩を踏み出そうとしているイギリス。行動制限の緩和に向けた動きが始まり、6月1日には学校が一部再開、6月15日からの非食品関連の店舗再開にもメドがついてきた。

ただ、人々の集いの場である「パブ」の再開はまだ先と決まり、時間制限付きながら居酒屋などの営業が許可されている日本と比べるといまだに不自由が多い。

「第2波」発生をいかに避けるか。日本のように「緊急事態宣言の全面解除」といったアナウンスではなく、欧州の国々では「感染フェーズに沿って制限を緩める」方法をとっている。人々は当分の間「他人との距離を置きながら、コロナとは共存」という生活を受け入れながら、新しい暮らしの形を模索している。

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