コカ・コーラ、コロナ禍でも自販機拡大のなぜ 自販機需要が減少の中、社長は強気姿勢貫く

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他方、コカ・コーラBJHは、オフィスビルやパチンコ店といった娯楽施設など、天候で売れ行きが左右されにくい屋内に自販機の6割を設置している。今回、この自販機依存がコロナ禍で裏目に出てしまった。テレワークの広がりで、オフィスでの自販機需要は激減。営業自粛が広がった娯楽施設でも苦戦した。

緊急事態宣言は5月25日に全面解除となったが、コカ・コーラBJHは4~6月の業績に影響が最も出ると想定している。販売数量を伸ばす機会になると期待していた東京五輪も開催延期となったこともあり、営業利益140億円としていた2020年12月期の通期業績見通しは、第1四半期決算の発表にあわせて取り下げて、「未定」とした。

台数増を打ち出したドラガン社長

コカ・コーラBJHにとって今年は、2024年までの中期経営計画の初年度。ドラガン社長が述べたように「変革の年」となるはずだった。

この計画は2019年3月に就任したドラガン社長が新しく打ち出したものだ。それまでは2020年を最終年度とする計画が、コカ・コーラウエストとコカ・コーライーストジャパンが統合しコカ・コーラBJHとなった2017年から始まっていた。

しかし、2018年夏の西日本豪雨で広島工場が被災し生産能力が低下。さらには自販機での競争激化を受けて、計画の利益目標を大きく引き下げることになった。将来の収益見通しが変わった結果、約619億円という巨額ののれん減損計上を迫られ、2019年12月期は約580億円の最終赤字に転落した。

巨額赤字からの再起を図るため、2019年8月の決算説明会で発表されたのが新たな中期経営計画だった。2024年までに約350億円のコスト削減を目指すとともに、「自販機台数の増加で業績回復を目指す」と宣言したのだ。

この宣言は同業他社に驚きを持って受け止められた。なぜならコンビニエンスストアなどの台頭で自販機の需要は長らく減少トレンドにあるからだ。

飲料総研のデータによると国内の飲料市場は、2010年の17億4000万ケースから2019年の19億ケースと約10%伸びた。それとは対照的に自販機による販売数量は、同5億9000万ケースから5億ケースへと、約15%減少している。

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