「最近スピード離婚が増えている」は本当なのか 統計データが示す「カップルの時間的関係性」

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ちなみに、件数だけで見るならば、1970年の9.5万件から2018年の20.8万件と49年間で2.2倍に増加した一方、2003年以降は件数では減少傾向が見て取れます。そのため、離婚の割合まで「多くなった」「少なくなった」と誤解を持つ方もいるかもしれません。しかし、繰り返しになりますが、婚姻件数に対する離婚件数の割合はそれほど変化していないのです。

短期離婚は団塊世代のほうが多かった

それでは、「3組に1組を超える離婚」は結婚してからどれくらいの時期で起こっているのでしょうか。「離婚件数が増えた」と聞くと、「最近の若いカップルは我慢が……」といった中高年的決めぜりふをつい言いたくなる方もいるかもしれません。しかし、まずは実態を見てみましょう。

なお、国の統計が離婚までの「婚姻期間」ではなく、「同居期間」で集計されているのは、離婚に際して長く裁判などが続くケースがあるためです。二人の関係性が夫婦として成立していたとみなされる期間で統計が取られている、ということになります。

直近の2018年と、団塊世代が20歳を超えた1970年とを比べると、同居期間が短期間といえる「5年未満の短期離婚」は52%から31%と、実に20ポイントを超える激減であることがわかります。また、スピード離婚といえる「3年未満の離婚」も29%から20%へ、9ポイントという統計的に明らかに意味のある幅での減少率となっています。

団塊ジュニアが全員20代となった2000年と比べても、短期離婚10ポイント、スピード離婚5ポイントの減少です。

以上のデータと離婚件数の増加データからいえることは、

昔(高齢者世代)は離婚自体は少ないものの、2組に1組以上が短期離婚、3組に1組はスピード離婚であり、離婚といえば「早い」もしくは「離婚しない」というイメージであった
ここ20年ほどで見ると、離婚件数は婚姻件数の3分の1を超えるが、より同居期間が長めのカップルの離婚が増加した

ということになります。

そして、このことは昔に比べ、「二人で過ごした時間に関係なく、離婚が発生する可能性が上昇した」ということを端的に示しています。つまり、「二人の時間的関係性にあぐらをかくことは難しくなった」と考えられるわけです。

「長く一緒にいるのだから、察して当たり前、わかってくれて当然」「ずっと文句を言わなかったんだから、いまさら大丈夫なはず」「空気みたいな相手だから、きっと互いに必要なんだ」といった「かつては許された二人のあり方」を前提とした夫婦観・家族観に対する警鐘を感じるのは、筆者だけではないのではないでしょうか。

天野 馨南子 ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー

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あまの かなこ / Kanako Amano

東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、99年より同社シンクタンクに出向。専門分野は人口動態に関する社会の諸問題。総務省「令和7年国勢調査有識者会議」構成員等、政府・地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・地方創生・共同参画・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『未婚化する日本』(白秋社・監修)、『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。

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