コロナ禍で地銀の業績はどれだけ悪化するのか 多くが減益見通しだが、下方修正リスクは残る

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ただ、巨額の与信費用を計上しても赤字転落は回避した。ふくおかFGは十八銀行を経営統合したことで、2020年3月期に1174億円の「負ののれん益」を計上しているからだ。この一時的な利益のおかげで、純利益は1106億円(前同比547億円増)を確保している。

将来のリスクを最大限取り込んだふくおかFGと対照的なのが千葉銀行で、2021年3月期の業績予想にコロナ影響を含めなかった。財務担当者は「予算策定時点で、影響を合理的に見積もれなかった。足元では影響も限定的」としている。2020年3月期に、業績悪化が見込まれた個別企業に対して予防的に引き当てた20億円程度で十分という考えだ。

銀行収益の中心となる資金利益(貸出や有価証券利息の配当)や手数料収入は、4月、5月の営業活動の自粛のマイナス要因がある一方、資金繰り支援の影響で貸出残高が増えるなどプラス要素もあり、計画達成は可能としている。

ストレステストで100億円超の与信費用

実際、与信費用は4月単月で1億円未満で、「これまで真っ当に商売をされていた顧客に、資金繰り破綻を起こさせないようあらゆる手を尽くしている」(財務担当者)という。きちんと審査や与信管理をしていれば、足元で急激に倒産が増えることはないという見立てだ。千葉銀行は2021年3月期の最終利益予想を前期とほぼ同等の485億円としている。

ただし、決算説明資料では「ストレステスト」の結果を開示した。具体的には、貸出先でサービス業や製造業など、コロナ影響があると考えられる業種を抽出し、「休業要請業種」「影響が一定程度ある業種」といった形で分類。企業の業況悪化よる与信費用への影響を試算した結果、国内外で最大112億円が見込まれるとした。

コロナ影響を含まない2021年3月期の与信費用は80億円を見込んでおり、ストレステストの分を加えると倍以上の192億円に膨らむ。それでも最終利益で300億円の達成は可能としており、コロナが長期化した場合でも「十分な期間利益」を確保できるとしている。

千葉銀行とふくおかFGの間をとるような形で、業績予想を出しているとこもある。具体的には、前期と今期に一定程度の予防的な引き当てを積むというものだ。

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