ホームレスを襲う未成年の理不尽すぎる暴力 1980年代から今まで断続的に起こっている

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「最初は紙の的を撃っていたがつまらなくなり、人を標的にした」

この手の未成年加害者は、だいたい遊び半分でやっている。もともと、ホームレスの住まいを壊したり、持ち物を勝手に川に投げ捨てたりするどうしようもない子どもたちで、エアガンによる襲撃も、複数回繰り返していた。

エアガンは、地方自治体が定める青少年保護育成条例によって購入できる年齢の下限を設けている地域が多い。大阪府も、有害玩具に指定しており、18歳未満の直接販売は禁止している。そのため、この事件では、後日、彼らにエアガンを売った玩具店が書類送検されている。

だいたいが男による犯行だが、女が交じることで、燃料が投下されてしまうこともある。2007年6月、埼玉県の黒目川河川敷で、ホームレス(43歳)の寝ていた段ボールハウスの放火未遂事件が起きた。河川敷でバーベキューをやっていた学生たちが、余ったサラダオイルをハウスにかけて

「燃やせ!」

「殺せ!」

とあおり、ライターで火をつけようとしたのだ。捕まったのは、あおったうえに自身のライターを男子学生に渡した大学4年の女子大生(21歳)や専門学校生の男子学生(20歳)を含む学生4人。「探偵ファイル」の報道によれば、池袋のカラオケ店で働くバイト仲間だったようだ。

河川敷は近隣住民の目が届きにくい

このような事件は2010年代に入っても、各地で起こっている。

相次ぐ河川敷のホームレス襲撃(筆者撮影)

2010年3月に兵庫県尼崎市の武庫川河川敷で起こった殺人未遂事件(被害者65歳男性、加害者は「(相手が)死んでも構わないと思った」と供述した14歳の中学生2人)、2011年1月に群馬県の広瀬川河川敷で起こった傷害事件(被害者67歳、加害者は「面白半分で河川敷にあった石を投げた」という14歳の中学生4人)、2012年2月に神奈川県の中津川河川敷で起こった傷害事件(被害者59歳、加害者は「あいつをやりに行こう」と犯行現場に向かった16歳の無職少年と14歳の中学生)と挙げればきりがない。

河川敷は、住宅街とも離れているうえに、土手や堤防であたりから見えにくくなっている。犯行に及ぶ未成年者の中には「ホームレスならバレないと思った」という供述をしている者もいて、近隣住民の目が届かないことが逆に利用された形だ。

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