「夏の甲子園中止」なのに地方はOKの大きな矛盾 朝日新聞社と高野連はリスクを押し付けるのか

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観客を半分に絞って席を空ける工夫や、大声での歌や応援合戦を控える。選手の移動も消毒を施したバスでマスク着用。宿舎も大部屋でなくホテルでの個室にする。ミーティングも選手の間隔を空け、試合では攻撃前の円陣の掛け声も、ハグも禁止。ウイルスを持ち帰らないように、地元に帰ったら1週間は自宅で過ごす。当然、こういった対策は考えていたはずだが、それでも「私ども悲観的に決定を考えており、楽観的な方向で踏み切ることができなかった」と説明する。

朝日新聞社の渡辺社長は、大会中止の理由として、練習不足で選手のけがが増えることも懸念していた。だが、この自粛の期間、彼らが人知れず鍛錬を重ねていないはずがない。高校、大学で野球をしてきた私には、チームプレーができる身体に戻すには1カ月もあれば十分であることを知っている。

運営を担う関係者、審判員、ネット裏に詰める医療関係者の協力が得られないことも、理由に挙げていた。だが、昨年のラグビーワールドカップでは、台風被害に見舞われながらも関係者の尽力で開催にこぎつけた。その気になれば、できないはずがない。

中止ありきではなかったか

地域によって感染状況がまちまちで、代表校がそろわない可能性にも言及していた。そうなったら規約でも改正すればいい。この非常事態に、それくらいは許されるはずだ。理由にならない理由を並べるあたり、どうも初めから中止ありきではなかったかと疑いたくなる。

もちろん、こんな状況下で大会を開催すれば批判は免れない。選手、観客、関係者の間に感染者が出ないとも限らない。一方、歓迎する声も少なくないはずだ。朝日新聞社も日本高野連も、目に見えない同調圧力に縛られ、「開催中止」という潜在的な空気に異論が封じ込められてはいなかったか。

そして、腑に落ちない2点目の理由を挙げよう。

5月20日の会見で、各都道府県における代替大会について尋ねられた日本高野連の八田英二会長は、「自主性にお任せしようと考えています。私どもはこうしてほしい、あるいはこうしてほしくないというようなことは言うつもりはござません」と答えている。「選手権大会」という名称は使わせずに、あくまで都道府県独自の大会であることを強調する一方、朝日新聞と高野連は、この地方大会を「後援」という形で支え、総額1億9000万円もの支援をするという。

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