コロナ後に「指示待ち社員」が絶滅する根本理由

ユニクロと米海兵隊に通じる「成長の方程式」

東京大学卒業後、東京海上に入り、アメリカ留学を経て、戦略コンサルタントに転じた宇佐美氏は、はたから見ればうらやましい限りのエリート人生だが、自らを「他力本願」「結果オーライ人生」と突き放す。問いに答えられなかった自分に「俺は40歳までいったい何やっててん?」と疑問を持ち、自身の半生を振り返った後、人生で成し遂げたいことについて深く自問自答したという。

その過程と、その後のファーストリテイリング社における人材育成の経験が、「過去最高の自分を育て、仲間を育て、最強チームを作る」という手法「リード・ザ・ジブン」の誕生へと結実している。

日本企業が没落した理由

「リード・ザ・ジブン」は、ありきたりなリーダー目線の采配論でもなければ、個人の単なる自己啓発に終始するものでもない。

まずは個人の「志」と、会社としての「ありたい姿」を削り出すところからはじまり、この2つをシンクロさせることがカギとなっている。自分の「志」と、会社の「ありたい姿」がどう関係しているかが理解できると、自分の日々の仕事に意味を感じられるようになるのだ。

上から押しつけられた「あるべき姿」では絵に描いた餅に終わるが、それが「自分事化」できて腹落ちするものならば、社員は誰かに言われるのでもなく、自分の思いをベースに行動することのできる「自律自走人材」に育つという。

「自律自走人材」は、会社の「ありたい姿」を共有する一員でありながら、個人としての「志」も両立できる。つねに脱皮し続けることで「過去最高の自分」を求めて成長する存在でもある。それは、チームとしての能力を強くすることでもありながら、同時に、個人の人生を豊かな手応えあるものに作り上げていくことでもあるというわけだ。

なぜ「自律自走人材」が必要なのか? そこには、グローバル化により、不確実で予測不能となった事業環境に、日本企業が対応できていないという課題がある。

平成元年、世界の企業の時価総額トップランキングは、NTTを筆頭に日本企業がトップ10社に名を連ねていた。それが今や、上位はアップル、アマゾンなどGAFAに代表される企業群や、アリババ、テンセントなど中国の新興企業群に独占され、日本はかろうじてトップ50にトヨタが入っているだけだ。

予測不能の事業環境に置かれているということは、過去の経験が無価値化することもありうるという意味でもある。今後は、過去のデータを分析して正解を導き出すようなバックミラー型経営や、会社の論理を社員へ下ろすだけの流れでは難しく、市場にいちばん近い現場にいる社員こそが、変化の兆しを察知して自ら考え、課題設定を行い、解決していくことが必要になる。

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