地方創生の第一人者が「5Gに本気」な深い理由 人材誘致、教育…想像もしなかったことが!

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現在10社以上がサテライトオフィスを構える徳島県神山町。5Gに見る未来とは?(写真 kozo/PIXTA)
「5Gで地方が大きく変わる」。「地方創生」の第一人者として知られる大南信也・認定特定非営利活動法人グリーンバレー理事(神山高専担当)は、故郷の徳島県神山町で建設会社を経営しつつ、仲間とともにNPO法人「グリーンバレー」を設立。住民自身の手による町おこしを展開してきた。神山町には現在10社以上がサテライトオフィスを構え、レストラン、ブルワリーなどが続々誕生。そんな大南氏が5Gに見る未来とは? 新刊『決定版 5G: 2030年への活用戦略』を上梓した片桐広逸氏が、大南氏にインタビューした一部を抜粋してお届けする。

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――神山町はサテライトオフィスの先進地域で、大南さんは「創造的過疎」を提唱してきました。

大南 「創造的過疎」とは、人口減少が避けられない中で、地方に若い世代や創造的な人材を誘致して、人口構成を健全化し、新たな未来を創っていこうという考え方です。ただ、その中でもサテライトオフィスについては、「神山という土壌から自然に生えてきた」という感覚です。2010年にIT企業のSansanが初めて神山にオフィスを置いてくれたんですが、当時は私自身、サテライトオフィスという言葉も知りませんでした。

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Sansanの寺田親弘社長は2000年初頭にシリコンバレーで働いていたことがあり、そこでの体験から多様な働き方の必要性を感じていたそうです。神山で僕らと空き家の改修を進めていた建築家が寺田社長の友人で、「四国の小さな町だがアートのプログラムをやっていて、ネットの速度も速い」と紹介してくれたのがきっかけでした。神山では2005年に全町に光ファイバー網が設置されて、インターネットに高速接続できたんです。

――それから次々とICT系の企業が神山にサテライトオフィスを設け始めたのですね。

大南 私が考えてきたのは、「これは企業誘致ではなく、人材誘致だ」ということです。地域を盛り上げていくためには、オフィスの数を競うより、集まってきた人たちに地元でいろいろな反応を起こしてもらい、新たな変化を生み出していくことが大切だということです。まさに人は財産です。

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