地方創生の第一人者が「5Gに本気」な深い理由 人材誘致、教育…想像もしなかったことが!
――私個人としては、いろいろなネットワークや才能を持った人たちのプールが地域にできれば、実はそれが「地域おこし」というものなのではないかと、最近思い始めています。どの地方自治体もなかなか実現できていないことだと思いますが、なぜ神山ではうまくいったのでしょうか。
大南 「神山はオープンだ」とよく言われます。1つには古来、遍路道が通る場で、往来するお遍路さんたちへの「お接待」の文化がいまも残っているということがあります。
加えて、1993年ごろから外国の若い人たちを念頭に置いた民泊事業を進めました。神山町の住民も僕ら自身も、それによってトレーニングされた面があったと思います。
1999年からアーティストを呼び始めたことで、また1段、そのフェーズが上がっていった。神山に住む人々がオープンなマインドを共有し、クリエイターたちにとって居心地のよい、フラットな基盤ができあがったことで、そこに人が集まってくるようになったのでしょうね。
行政と民間、両者がつながっていく必要性
――そこが簡単にはまねられない部分なのでしょうね。地方創生において、行政との関係についてはどうお考えですか。
大南 光ファイバー網がそうですが、発展の基盤になるインフラは民間では作れません。
――神山町の光ファイバー網は、もともと地デジ対策だったのですよね。
大南 はい。総務省と徳島県と神山町がお金を出してくれたからできたもので、サテライトオフィスも光ファイバーあっての話だったわけです。結局、インフラについては行政にやっていただかなければ無理なのです。その上に築くものについても、行政と民間の両者がお互い知恵を出し合いながら進めていく、車の両輪のような形が必要になります。
各地の行政の方からは、「うちの町にはグリーンバレーのような、先導的に動いてくれる民間の組織がなくて」という話をよく聞きますが、実際に地域の民間団体をどこまでつかんでいるかが問題で、もっと現場へ出るべきでしょう。
一方で民間側も「うちの行政は何もわかってない」と批判する団体が多いですが、そうではなく、「この現状は、自分たちがやろうとしていることが、この人たちに見えていないのだ」と考え、行政の目にこちらのやりたいことがわかるよう努力すべきです。
例えば「役場がやる気がない」というときは、役場全部を1つの塊として捉えてしまっていますよね。でも実際は役場の中にもいろいろな思いを抱いている人たちが必ずいるのです。そういう人たちを見つけ出して、つながっていくことが大切です。
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