年収1億円で劣等感ある人が不思議じゃない訳 人と比較しての「勝ち組」は長続きしない幸せ
もう1つ、Aさんから聞いた典型的なエピソードがあります。投資家の1人に、60億円の資産を持っている老婦人がいました。
ある日、彼女の家を訪ねたところ、「私の資産を、毎日あなたに見ていてもらいたいんです。見てもらうだけで、私は安心するんです」と言われたそうです。そして、次のように、不安な気持ちを吐露したそうです。
「今日は1億円減った、今日は5000万円増えた……。毎日、数千万単位で資産が変化して、そのたびに一喜一憂しています。これでは夜も眠れません」
こう言っては失礼ですが、ご高齢のおばあちゃんです。お墓に財産を持っていくことはできません。財産を残す子どももいなかったそうです。もし彼女が亡くなったら、たいして付き合いのない、遠い親戚に全財産が渡るそうです。
それなら温泉へ行ったり、美味しいものを食べたり、好きなことに好きなだけ使って余生を楽しめばいいのに、と凡人は思ってしまいます。しかし、実際に大金を持っているとそうは思えないのが現実のようです。持っているものが大きく変動することにより、不安定に揺れ動く心。
億万長者が不幸になる4つの理由
なぜ億万長者は幸せを感じられないのか。Aさんは、次の4つの理由を挙げています。
② 資産の形成と消費のアンバランス
③ 優越感と幸福感の履き違え
④ 人間関係、家族関係の希薄化
今、ご紹介した3人は、①「資産の減価への不安感」に当てはまる典型的な事例です。お金が減っていく、あるいはお金が減るのではないかという不安は、心の病にかかるくらい強烈です。お金は人を不幸にすることもあるのです。
次に②「資産の形成と消費のアンバランス」について。
みなさんは、元NFL(アメリカンフットボール)選手の78パーセント、元NBA(バスケットボール)選手の68パーセントが、現役引退後、自己破産に追い込まれている事実をご存じでしょうか。アメリカの調査機関が発表したデータで、日本でもテレビなどで大きく報道されました。
NFL、NBAといえば、スター選手なら何千万ドルという年俸を稼ぐことができるスポーツです。わずか数年の選手生活で、一生困らないお金を手に入れる人もいます。なのに、なぜ自己破産にまで追い込まれてしまうのでしょうか。
その背景にあるのが、②の資産の形成と消費のアンバランスです。簡単にいえば、お金を稼ぐことには長けていますが、お金を使うことは下手なのです。
たとえば、元NFLのある選手は、2001一年から10年間にわたり、チームの中心選手として活躍していました。しかし引退後、遊園地ビジネスに15億円、その他2つの事業に12億円、計27億円を投資し、すべて失敗しました。わずか2年ほどで自己破産し、現在はトラックのセールスマンとして働いているそうです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら