「島耕作」作者が語る団塊世代の定年後のリアル 「弘兼憲史×松本すみ子」定年後について対談
松本:25、26歳で結婚して辞めると思っているからですよね。22歳で大学を卒業して就職したら、辞めるまでたった3年しかない。それが短大だと5年は勤められる。そういう計算があったんでしょうね。
弘兼:しかも、女性がするのは軽い仕事というイメージがあるから、なおさら四大卒の女性はいらないということになってしまう。ひどい時代でした。
松本:私はたまたま、外資系と日本の商社が合弁で設立したコンピューターの会社に入ったからそういう考え方があまりなくてずっと勤められたんですが、団塊世代の女性の多くはそうではなかった。みんな能力があるのにもったいなかったなと思っています。
ただその分、今になって反動が来ていて、ご主人が定年退職した後に奥さんが働きに行くというケースが最近増えてきたんですよ。能力もそれなりにあるし、ご主人が定年退職して家にいるからずっと一緒にいるのも嫌だということで(笑)。
何より、世代的に若いときからいろんな社会的・文化的経験をしていますから、やりたいことが結構あるみたいなんですね。
50代向けのウエディング!?
弘兼:それはあるでしょうね。女性は夫から離れられるならこれ幸いとばかりに外にわっと働きに出ますから。男性はストレスの塊みたいなもので、いなくなるとある意味せいせいする。
松本:それに、女性は歳をとっても意外と元気ですから。
弘兼:僕のところにいま、80歳過ぎのおばあちゃんにお手伝いに来てもらってるんですよ。彼女が先日、「先生、来週休ましてください」と言ってくるから「いいですよ。何かあるんですか?」って聞いてみたら、みんなで伊豆の旅館に泊まり込んでマージャン大会をやるんですって(笑)。
松本:マージャンがはやっているらしいですね。楽しくみんなでおしゃべりするのがいいみたいで。要はコミュニケーションですね。
弘兼:僕は、自分が70歳になってみてわかるんだけど、同世代でも元気な人はすごく元気なんですよ。彼女がいっぱいいる人もいますから(笑)。
松本:私も、今まで普通だった人が、70、80歳になって突然ブレイクする人が出てくるんじゃないかなと思っているんですよ。すでに、そういう兆候があります。
これからそういうシニア世代がいろいろ動きだすことで、新しいマーケットもできると思うんです。例えばウエディングだって、今は若い人ばかりを狙っているけれど、例えば、50代の人たちにはもっとふさわしいスタイルがあるはず。
そういう、日本が高齢化しているがゆえの新しいマーケットがこれから生まれてくる可能性もあるんじゃないかなと思うんです。