コロナでも障害者施設を閉所できない深刻事情 何が起きているか分からない入所者もいる
――グループホームとは、どのようなところですか。
障害のある人たちが夜間に過ごす場所で、共同生活を行う住居でもあります。僕らのような障害者通所施設が彼らの日中のサポートを行い、グループホームが夜間のサポートをしているんです。
グループホームの入居者は、日中を生活介護施設などの通所施設で過ごすことを前提に入居しています。当然、日中の業務は想定していないし、夜間のための職員しか雇っていません。
にもかかわらず、多くの障害者施設が閉所したことで、日中の介助も求められるようになってしまっています。それにより、本来夜間だけのはずの職員が24時間の宿直体制で働いているところもあります。
僕の知人にも、12人の障害のある人たちが入居するグループホームで働いている人がいます。その人によれば、彼らが働くはずだった3つの施設が閉まり、11人が日中の行き場を失ってしまったと。
もともと家でみることが難しいことからグループホームに入居している人も多くて、彼らは家に帰ることもできない。
その人は30時間ぶっ続けで出勤することもあるようで、「自分はコロナに感染して死ぬんじゃなくて、過労で死ぬかもしれない」と言っていました。
3密を避けるのにも限界がある
――そうしたなかで、とくにどのようなことに難しさを感じていますか。
たとえば、障害のある人たちの多くは熱があったり体調が悪かったりしても、そのことに自分で気づくことができないんです。だから僕ら職員が気づくしかない。
僕らの施設でも感染対策は徹底していて、手洗いやアルコール消毒、また検温も午前と午後とで2回ずつしてもらっています。37.5度以上の熱があれば、施設の利用を控えてもらうこともしています。
ただ限界もあって、彼らが通所するのは送迎車なんですが、そこでの濃厚接触はやはり避けられない。「3密を避けよう」と言われていますが、狭い車内に10人とかが密集状態になってしまっているんです。
そしてやはり熱を出す人もいます。今日も38.5度の熱を出した人がいて、その人は前日にも39度の熱があったんですね。保健所に相談したら、「様子を見てくれ」と言われたので、作業所の部屋を分けるかたちで隔離しました。
ですが、自分で食事や排泄などができないので、隔離といってもどうしても職員の手が必要になる。その人が感染していたら、僕らも濃厚接触者になります。やっぱりリスクがあるので、正直言えば僕も怖いです。