一気に重症化「子どものコロナ」語られない怖さ 肺炎だけが症状と思い込むと見過ごす可能性

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ただ、ジャックさんの目が「真っ赤に」充血し、白目をむいている様子だったことから、母親は入院期間の延長を願い出た。担当の小児科医と話し合った後、病院は新型コロナの感染検査を独自に実施した。結果は陽性だった。

担当の医師は、ニューヨーク・プレスビテリアン病院の小児専門病院であるモルガン・スタンレー小児病院にジャックさんを移送することにした。モルガン・スタンレー小児病院では、多くの新型コロナ患者を治療している。ジャックさんは家に帰りたいと懇願したが、医師はぴしゃりとはねつけた。10代の若者は「自分は大丈夫」と勘違いしがちなのを知っていたからだ。

危険な低血圧、跳ね上がる心拍数

ジャックさんの安静時の心拍数は毎分165回と通常の約2倍に達し、彼の心臓は驚くほど低い血圧を補うのに苦戦していた。血液を体内に循環させ、重要な臓器に酸素と栄養素を供給する機能に支障が出始めていた。

心原性ショックと呼ばれる心不全の一形態であり、ジャックさんの状態は「かなり深刻」だったと、モルガン・スタンレー小児病院およびコロンビア大学で小児救急医療責任者をしているスティーブン・カーニー医師は語った。「全体として、彼の心臓はあまりうまく機能していなかった。心臓のポンプ機能が低下していた」。

なぜジャックさんの心臓機能が突然損なわれたのか、医師らには説明がつかなかった。心臓の構造は正常で、心拍リズムにも異常はなかったからだ。しかし、全身の血管が炎症を起こし、血管炎と呼ばれる状態であったため、血管の筋肉が「血流を正常に制御できなくなっていた」とカーニー医師は言う。

医師らは、心筋炎として知られる心臓の炎症も疑った。治療せずに重症化すると、心臓に永久的な損傷を引き起こす可能性がある。

ジャックさんが集中治療室に入って3日目の4月29日までに、血圧の薬は十分な効果を上げていなかった。医師らはジャックさんの鼠径部にカテーテルを挿入し、そこから追加の薬を投与する計画を立て始めた。また、鼻から酸素を吸入していたジャックさんを人工呼吸器につなぐ準備も進められた。「心臓が正常に機能していない」ときに医師が必要と考える処置だが、「治療がどう展開していくのかも見通せない状態だった」とコナーズ医師は言う。

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