苦戦するファミマ、「ブランド統合」の光と影 統合後の「歪み」をどこまで解消できるか
現役ファミマオーナーBさんは、「抵抗はしたが、本部側から『期限までに契約しなければ看板替えをしない』と言われ、この条件をのまざるをえなかった」と唇をかむ。
元CKSオーナーにとっては泣き寝入りのような境遇だが、この点についてファミマは「基本的にブランド転換の際には新しく契約を結ぶため、契約が変われば加盟年数も変わる」(広報担当者)としている。
ローソンでも似たようなケースはあった。スリーエフなどからブランド転換した店舗は、売り上げは上昇するものの本部へのロイヤルティーも高額になった。ただ、「ブランド転換でオーナーの収入が極端に下がらないよう、販売支援金で補った」(スリーエフのIR担当者)という。
新たな支援制度を打ち出す
ブランド転換による制度の歪みはさらに、本部からの支援金にも生じた。CKSで複数店を経営していたオーナーは、売上総利益のうち3%を奨励金として受け取っていた。CKSの実績を基に計算すると、1店の1日当たり売上高が43.8万円、売上総利益率が27%の場合、奨励金は年間約129万円に上る。
ファミマにも複数店奨励金の制度はあるが、土地や建物、内装費用のすべてを本部が負担する経営形態では適用されなかった。ここでも、形式上の理由で奨励金を受けることができなくなった元CKSオーナーは少なくなかった。
制度の歪みにより元CKSオーナーの疲弊が顕在化する中、ファミマは冒頭のように新たな加盟店支援制度を打ち出した。
本部が土地や建物、内装費用の全額を負担した場合でも、4月から1店舗当たり月4万円の複数店奨励金が支払われるようになった。ファミマは制度変更について、「多店舗経営を目指す人により多くの店舗を経営してもらうため、奨励金制度の対象を拡張した」(広報担当者)と説明する。