コロナが晒した「ダメな自治体」「できる自治体」

支援策ぶっちぎり「文京区」のスピード感

働き方改革の観点からは疑問もあるかもしれないが、緊急時に昼夜を問わず、働く職員が少なからずいること、区役所内での連携ができていることなども独自施策実現に貢献しているポイントだろう。

また、忘れてはならないのは地域性だ。宅配サービスの登録店舗が当初予想を大きく上回ったのは地域の人たちが口コミで情報を広げたから。ボランティアとして配達に協力する人がいるから成り立っている仕組みでもある。

地元の人のために、と考える人がいるかどうか

宅配ボランティアには70件ほどのエントリーがあり、現在30人ほどで担っているが、中にはウーバーイーツでの配送を行っている人も。「その合間にやりたいと参加。今では地域のために役立っていることに生きがいを感じていると言ってくださる方もいる」と篠原氏は話す。

配達は有償のボランティアだが、配達料は1件210円。ウーバーイーツに比べれば半額以下のはずだが、それでも地元のためにという思いがあるということだろう。そんな人がいるかどうかも、街を考えるうえでは大事だろう。

地域性では大学生が多い地域という点も寄与している。配達員では学生や、テレワーク中の会社員、派遣切りなどで無職になった人がそれぞれ2割ほどいるそうで、留学予定が飛んでしまったという人達も少なくないとか。さすが文教地区である。

すばやく立ち上がり、無料で区内宅配という他にないメリットがあることもあり、利用状況は上々。通常時の3倍以上の問合せ電話があったという店もあれば、10日間で1万円近い盛り合わせ料理が30以上売れた例もあり、コロナ後の新規顧客開拓に役立っているという声も出ている。

今後は区内の飲食店などが抱えている在庫の活用促進のための掲示板を5月25日にオープン予定とのことで、区内の事業者支援は着々と進んでいる。もちろん、いいことばかりではなく、区内の端から端までの配達は物理的に難しい、宅配依頼があっても配達員が足りないために断らざるをえないこともあるなど問題もある。

だが、不十分でも良いからとにかく早くできる支援をという姿勢は区内の事業者には伝わっており、それが多少なりとも不安解消になっているのではないかと思う。

次ページ区に先んじて始まっていた民間宅配
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