コロナが晒した「ダメな自治体」「できる自治体」 支援策ぶっちぎり「文京区」のスピード感

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4月3日から店舗の応募が始まり、サイトアップの4月7日時点では約80店舗ほどが登録。5月16日の時点で268店舗となっており、自治体、民間がやっている同様のサイトに比べても圧倒的に多い。文京区内の飲食店は1300軒、うち商店会に加盟しているのは550軒で、今後はITリテラシーの面などから参加できていない店舗にも個別にDMを送って参加を呼びかける予定で、さらに充実した内容になろう。

区民ボランティアによる無料の宅配も区長からのアイディアだ。当初は登録料を区が負担して既存の宅配サービスを利用できないかと考えたが、新規の登録には1カ月以上かかり、迅速な対応にはならない。

そんなところに区の地域連携ステーションフミコムに補助金を使って1回100円で家事代行をする事業者「御用聞き」が、有償ボランティアが働く仕組みが配達に使えるのではとの情報が区長からもたらされたのである。このやり方なら区民が区民のために動くことになり、税金を配達料金に投入しても意味がある。

家賃補助への対応も早かった

テイクアウトからは離れるが区独自の「中小企業者緊急家賃助成事業」も区長の提案から始まったもの。こちらも4月9日の提案をうけて休日返上で制度設計が行われ、4月30日にはリリースという役所とは思えないほどのスピードで実施に至っている。

いかに区長の一言が大きな意味を持っているかがおわかりいただけよう。だが、それ以上に大きいのはその一言の背後にあるものだ。区の職員、特に管理職は区長が誰よりも現場を知っていることを理解しており、発する一言に現場のニーズが反映されていることを知っている。

職員の中には、区長は職員の何倍も現場に出ていると評する人がいるほどで、文京区在住の友人たちも区長との距離の近さを指摘する。誰よりも現場を知っている人の一言だから、職員もそれを実現しようと必死になるのである。

文京区に限らず、独自性を感じる、面白いことが起きている自治体では首長、副市・区長、職員を取材時に現場で見かけることが多い。机上で施策を考えるのではなく、現場で考える姿勢があるからその地域に必要なものが生まれるのである。逆にそうした人たちを現場で見ることがない自治体もあり、そこに変化、変革が起きるとは考えにくい。

ちなみにこうした自治体では首長が自らの言葉で情報を発信していることが多く、現場に出ているかどうかもそうした情報から読み取ることができる。選挙時の演説だけではわからないとしても日常的に見ていれば、現場に行く人か、行かない人かはわかるはずだ。

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