コロナが晒した「ダメな自治体」「できる自治体」 支援策ぶっちぎり「文京区」のスピード感
独自支援のうち、早い時期に発表されたものとしては福井県勝山市がゼロ歳から中学3年生までの子どものいる世帯に1人一律6万円の支給(4月13日)を発表。神奈川鎌倉市が中小事業者支援のために売上高の減少などを条件に賃借料相当分の給付金支給(4月16日)しているほか、足立区が自宅で療養する人に生活必需品セット、妊婦にマスクを配布(4月21日)している。
評価を上げた自治体、下げた自治体もある。印象的だったのは神奈川県小田原市。前市長の加藤健一氏(5月17日の市長選で落選)は、2008年の就任から10年で負債を1380憶円から1082憶円に圧縮。15.4憶円だった財政調整基金を61.4憶円にまで回復させた。市は4月11日にそこから12憶円を拠出。対策基金を創設している。
それにあたり、加藤氏は江戸期の郷土の偉人・二宮尊徳が天保の大飢饉の際に小田原城内の米蔵を開き、それによって小田原領内では餓死者を出さずに済んだ故事を引き、「今がまさに米蔵を開く時」と述べており、地域の伝統とはこういうものかと思わされた。
その逆に緊急事態宣言の2日後、4月9日に宿泊予約キャンペーン、芸妓を呼んだ場合などに利用できる「舞・お座敷券」の復活などを盛り込んだ緊急経済対策を可決、反対意見が噴出した神奈川県湯河原町(翌日には延期を発表)、観光客を誘致する発言をした石川県の谷本正憲知事などはおおいに評価を下げたのではなかろうか。
テイクアウトで「地域差」が露わに
コロナでは地域ごとの対応にも差が出た。今はどの地域でも飲食店はテイクアウトを始めているが、その情報を地域でまとめたマップなどが登場し始めたのは4月初旬から。早かった地域としては東京都文京区、横浜市青葉区、神奈川県平塚市、千葉県流山市、東京都江東区などが挙げられる。いまだそうした情報がない地域もあり、差は開く一方である。
では、スピーディーな独自策はどのように可能になったのか。他区に先駆けてテイクアウト情報サイトを作成し、区民ボランティアによる区内での無料宅配(宅配料は区が負担)という独自の支援を実施している文京区の事例からはいくつかわかることがある。
ひとつ、大きいのは成澤廣修区長が強いイニシアチブを持っていることだ。同区経済課の篠原秀徳課長によると、最初に区長から飲食店の宅配支援ができないかという連絡が来たのは3月26日の夕刻。
区役所内で経済課と商店会連合会の事務局が隣り合っていたことから飲食店支援については話題に上がっており、そこに区長の一言があったことで事態は急速に動く。商店街連合会のホームページ内に作る予定のテストページができたのは3月29日(日曜日!)で、それを受けて3月31日に区長がつぶやいた。
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