歴史が示唆する新型コロナの意外な「終わり方」

過去のパンデミックはどう終息したのか

ペストを媒介するネズミが変わったことが原因とも考えられる。19世紀までに、ペスト菌はクマネズミではなくドブネズミを宿主とするようになった。ドブネズミのほうが強く、獰猛(どうもう)で、人間から離れて暮らす傾向がある。

別の仮説としては、細菌の力が弱くなったというものがある。あるいは、人間の行動、たとえば村を焼き払うなどの行為が、効果を発揮したのかもしれない。

今では抗生物質により治療できるのに

ただし、ペストは完全に消え去ってはいない。アメリカでは、南西部のプレーリードッグが保菌しており、人間にうつる可能性もある。スノーデンによると、彼の友人の1人が、ニューメキシコ州のホテルに滞在したあとペスト菌に感染したという。その友人の前にホテルの同じ部屋に滞在していた人が犬を連れており、その犬についていたノミがペスト菌を持っていた。

このようなケースはまれであり、いまでは抗生物質により治療することができる。しかし、ペストの感染が報じられると、人々はいつも恐怖を感じる。

天然痘――例外的に医学的に終息

医学的に根絶された病気としては、天然痘が挙げられる。だが、天然痘の根絶は、次のような条件が揃った例外的なものだ。まず、天然痘にはワクチンがあり、その効果は一生続く。また、天然痘ウイルスの小痘瘡(しょうとうそう)は動物を宿主としないので、人間のあいだで病気がなくなれば完全に根絶されたことになる。さらには、症状がかなり明確なので、感染したことがわかりやすく、隔離や接触者の追跡がしやすい。

天然痘に自然に感染した最後の患者は、ソマリアの病院の調理師だったアリ・マオ・マーランだ。1977年に罹患したが回復し、2013年にマラリアで亡くなった。

インフルエンザ――人々が忘れ去って終息

1918年のインフルエンザ(俗に「スペインかぜ」と呼ばれる)は、パンデミックによる大きな被害と、隔離やソーシャル・ディスタンスの有効性を示す事例として、今日でも引き合いに出される。このインフルエンザでは、世界で5000万人から1億人が死亡した。若者や中年に犠牲者が多く、子どもたちは親を失い、家族は稼ぎ手を失い、第1次世界大戦のさなかに、兵士たちも失われた。

世界を席巻したあと、このインフルエンザは徐々に消えていき、毎年あらわれるような、弱いインフルエンザに変わっていった。

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