歴史が示唆する新型コロナの意外な「終わり方」

過去のパンデミックはどう終息したのか

「このインフルエンザはたとえば火事のようなもので、燃やせるものや近くにある木々などを燃やし尽くして、鎮火したのかもしれない」とスノーデンは言う。

社会的にも終息した。第1次世界大戦が終わったあと、人々は再出発や新たな時代に意識を向けており、病気や戦争の悪夢を忘れ去ろうとしていた。最近まで、1918年のインフルエンザはほとんど忘れられていた。

しかしその後も、ほかのインフルエンザによるパンデミックが起こった。「スペインかぜ」ほどひどくはなかったが、どれも衝撃的だった。1968年の香港インフルエンザでは、世界で100万人が死亡し、アメリカでの死者は10万人で、大半が65歳以上だった。香港インフルエンザのウイルスは、現在も季節性のインフルエンザを発生させているが、その最初の被害や、香港インフルエンザが引き起こした恐怖は、ほとんど思い出されることがない。

ワクチンがなくても終息する可能性

新型コロナウイルス感染症の場合はどうなるだろうか。

歴史学者が1つの可能性として挙げるのは、医学的に終息する前に、社会的に終わりを迎えるのではないかということだ。人々がさまざまな制約に嫌気がさし、まだウイルスがくすぶっていても、ワクチンや効果的な治療方法が開発されていなくても、もうパンデミックは終わったと宣言する。

イェール大学の歴史学者、ナオミ・ロジャースは言う。「極度の疲労やフラストレーションといった、社会心理学的な問題があると思う。人々が『いい加減うんざりだ。もう普通の生活に戻っていいはずだ』と言うようになる可能性がある」。

それはすでに起こっている。アメリカのいくつかの州では、公衆衛生の当局者が時期尚早だと警告しているにもかかわらず、州知事が規制を解除し、ヘアサロンやネイルサロン、ジムなどの営業再開を認めた。ロックダウンによって経済状況が壊滅的になっていくにつれ、さらに多くの人たちが「もううんざりだ」と言うようになるかもしれない。

「こうした葛藤が現在生じている」とロジャースは言う。公衆衛生の当局者は医学的な終息を考えているが、一般の人たちの中には社会的な終わりをイメージしている人たちもいる。

「誰が終わりを宣言できるのか」とロジャースは言う。「もし終わったという考え方に反対するのであれば、どこの部分に反対しているのか。『まだ終わっていない』と言う場合、どういう主張なのか」。

難しいのは、きっぱりと勝利宣言が出せないことだとブラントは言う。パンデミックの終わりを定義するのは「長くて困難なプロセスになる」。

(執筆:Gina Kolata記者、翻訳:東方雅美)
© 2020 The New York Times Company

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