コロナ大恐慌「1年で元に戻らない」日本の危難 4-6月期GDPは戦後最悪へ、デジタル化にも苦戦

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とはいえ、政府としては、感染拡大回避だけでなく経済活動の再開に軸足を移し始めている。

14日に開催された経済財政諮問会議では、感染拡大回避と経済活動の両立を目指した議論が行われた。影響の大きい観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテイメントなどの活性化を目指した「GoToキャンペーン」の実施前倒しなど、早くも自粛からの転換支援への提言がなされた。同時に、第2、第3波にも備えつつ、経済活動と両立する「検査・追跡・救命と感染遮断」を徹底して進められる体制」について国が基本方針を示すべきとされ、そうした体制が整備できなければ、経済活動再開もままならないとの認識も示された。

ただ、従来と同様の経済活動や日常が取り戻せるのはまだ先になるとの指摘も目立つ。そして、感染回避と経済回復の両立に向けて「デジタル化」がキーとなるとの認識は、以前より強まったようだ。

BNPパリバ証券チーフエコノミスト・河野龍太郎氏は、このままでは22年1-3月になってもGDPの水準は消費増税前の19年7─9月を2.1%下回ると試算し、そうした中で広がりを見せ始めた「デジタル化」への期待をあげる。ただ「それらは日本の経営者が最も苦手とする分野だ」と指摘する。

テレワーク実施率は全国26%台、東京でも51%

実際、緊急経済対策の現場対応においても、地方税の納税猶予、小学校休業等対応支援金、雇用調整助成金、政策金融公庫の特別貸付などは押印や書類提出が必要となっている。

企業でもテレワークを導入しているところは全国的に少なく、厚生労働省の4月12─13日実施の調査によるとオフィス勤務のテレワーク実施率は全国平均で26.8%にとどまった。東京でも51%と、政府が呼び掛けたオフィス出勤者の最低7割削減には程遠い状況だ。

デジタル投資を期待される企業にとっては「設備投資は、感染の影響終息後の産業地図の変化を注視してから実行することになる」(4月ロイター企業調査)などの声もあり、新規投資に踏み切るのはポストコロナの時代にどのような構造変化が起きているか見極めたいと思惑もありそうだ。

(中川泉、編集:田中志保)

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