【産業天気図・業種別業績予想集計】「会社四季報」2010年1集新春号
『会社四季報』2010年1集・新春号(09年12月14日発売)の最新データを基にした独自集計によれば、今2010年3月期の予想営業利益(金融除く「全産業」ベース)は、前09年3月期比9.1%減益と、前号時点の予想(16.4%減益)から改善した。
リーマン・ショック以降の急速な景気悪化の影響は継続。米オバマ大統領と国内の民主党という2つの新政権への失望感から、景気の二番底もささやかれる。だが、四季報
は予想にあたり二番底を想定していない。そもそも日本産業は輸出型で、外需依存度が高い。国内消費の減速で内需企業は厳しいものの、中国など新興国を軸にした外需の回
復があれば日本経済の底が割れることはないとみている。自動車・電機を中心とする製造業は、人員削減や工場等の拠点集約など構造改革を進めた結果、従来予想以上に営業
赤字または減益幅を縮小させた。1ドル90円台を下回る円高推移さえなければ、来11年3月期も企業業績は底堅いだろう。
銀行・保険を除く31業種中、前号より予想営業利益の合計額が上方修正された産業は16業種。製造業全体の営業益は、前号の5兆1008億円から3割増え、6兆5920億円に達する見通しだ。中でも注目は、自動車を中心とする輸送用機器が黒字転換すること。前号は業界総額5909億円の営業連続赤字だったが、今号では一転、4715億円の黒字化を果たす見通し。鉄鋼の営業益も前号比49.3%増の1566億円、電気機器は同29.6%増の1兆1315億円となりそうだ。自動車・電機の回復を受け、化学も同20.7%増の9922億円が見込まれる。
一方、前号から今期営業益予想が後退した業種は、石油・石炭製品(同42%減の834億円)、不動産業(同11.5%減の5372億円)、水産・農林業(同10.33%減の358億円)など。海運は411億円の営業黒字から998億円の営業赤字へ転落する。空運も営業赤字額が974億円から1914億円へ大幅拡大する。
全般的には、前号に比べて上方修正業種が増えてきたとはいえ、下方修正業種も残っており、不透明感が残る面は否定できない。多くの企業が見込む尻上がりの業績改善が
、円高リスクなどを乗り越え達成されるかが今後の大きな注目ポイントとなるだろう。
■次ページに業種別営業利益・純利益予想の集計表を掲載