JR東の新型新幹線「E8系」、開発決定までの背景 鼻の長さ9m、山形県内を疾走するミニ新幹線

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この結果、E8系7両編成の座席定員はグリーン車で26人、普通車で329人の合計355名を確保し、E3系2000番代と比べてグリーン車が3人増、普通車が42人減となった。なお、E6系よりはグリーン車で4人、普通車で21人増えている。

E8系の先頭部形状は「より進化した印象のアローライン」。アローラインはE5系、E6系で採用されている複雑な造型の先頭部形状。公開されたイラストを見るとE6系のノーズ先端部を4m短縮したような印象を受ける。

車体カラーはE3系「つばさ」の現行塗装のイメージを残しつつ、蔵王ビアンコを基調として、先頭部中央および車体側面上部に紅花イエローのラインを配し、先頭部上から屋根にかけてはおしどりパープルを配色している。

外観のイラストを見る限りでは、車体下部を覆う台車カバーや床下機器カバー、連結部の全周ホロ、低騒音碍子(がいし)を配置した片持ち式シングルアームパンタグラフやパンタグラフ遮音板、車体間ダンパ等はE6系と同等のものを使用するとみられる。

また、全車にフルアクティブサスペンションを搭載することが発表されているが、E6系用と同じ電気式(ローラーねじ式)を採用するのか、その他の方式を採用するのかが気になるところだ。

E8系普通車の客室デザイン(画像:JR東日本)

車内では照明や空調の吹出口などがE6系と異なるデザインとなっている。また中央通路は最上川の流れをモチーフとした。グリーン車のカラーテーマは「最上川と月山」で、座席は月山の緑色と最上川の水面の印象を組み合わせたカラーとした。普通車のカラーテーマは「最上川と紅花」で、座席は紅花が抽出されるプロセスをグラデーションで表現した。

E8系は2022年9月以降に落成し、2026年春までに17編成を投入して、E3系を置き換える予定となっている。

大きく変わる山形新幹線

山形新幹線の改良は車両だけではなく、福島駅に上りアプローチ線を新設する工事も始められる。

現在山形新幹線の発着は東北新幹線下りホーム(14番線)を使用している。そのため、福島駅で「つばさ」上り列車と下り列車の同時発着ができないほか、上り「つばさ」と連結する「やまびこ」は駅の南北で東北新幹線下り本線を横断しなければならず、輸送障害時のダイヤ復旧に時間がかかっている。これらの問題を解消するのが上りアプローチ線新設の目的だ。

上りアプローチ線は東北新幹線の高架下をくぐった後、東北新幹線上りホーム(11番線)に接続するもの。建設にあたっては地平区間の切土、路盤新設、高架区間の橋梁、盛土新設および、電気設備の改良工事が実施される。

上りアプローチ線の使用開始は2026年度末の予定だ。E8系と新上りアプローチ線、この先数年で大きく変わる山形新幹線に期待したい。

松沼 猛 『鉄おも!』編集長

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まつぬま たける / Takeru Matsunuma

大阪府出身。明治大学文学部卒。株式会社三栄書房に20年間在籍し、編集者として世界各地を飛び回った。2008年12月から『鉄道のテクノロジー』編集長を務めた後、2013年5月に独立。現在は『鉄おも!』編集長のほか、『鉄道ジャーナル』『ニューモデルマガジンX』『カーグッズマガジン』、鉄道、自動車関連ムックなどに執筆。

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