JR東の新型新幹線「E8系」、開発決定までの背景 鼻の長さ9m、山形県内を疾走するミニ新幹線
2014年には山形県の吉村美栄子知事からの強い要望で、山形新幹線の車体カラーが一新されることになった。デザインを監修したのは、山形県出身の工業デザイナーでE6系、E7系のデザインを監修した奥山清行氏である。
「山形の彩り豊かな自然の恵み」と「新幹線の持つ躍動感」を表現したもので、蔵王の雪をモチーフとした白をベースとして、山形の県鳥であるオシドリを表現した紫と県花の紅花をモチーフとした黄色から赤色へのグラデーションを配したものとなった。
また、2014年、2015年に「こまち」から引退したE3系0番代6両編成4本を改造して、E3系1000番代7両編成2本に仕立てて、「つばさ」に転用された。いずれも2005年製造の車両で、1999年製造のE3系1000番代初期車2編成を置き換えた。
E8系が登場する背景
秋田新幹線では2013〜2014年にかけてE6系を投入してE3系0番代を置き換えた。E6系は東北新幹線宇都宮〜盛岡間で時速320km運転を行うため、トンネル微気圧波などの騒音低減が図られた。その結果13mというロングノーズの先頭部形状が採用されている。これはE6系の先頭車の全長23.075mの半分以上を占めており、客室スペースが犠牲となる。
そのためE6系は7両編成として、編成定員336人を確保した。内訳はグリーン車22人、普通車314人だったが、後に荷物置場を3カ所設置したため、普通車の定員は308人に減少。編成定員は330人となった。
一方、山形新幹線の定員はE3系2000番代が394人、1000番代が402人。E6系よりも64〜72人も多い。つまり定員差は1両分以上となり、“勝ち組”の山形新幹線の定員を大幅に減らすのは得策ではない。
しかし、ホームの長さを考えるとE6系を8両編成化することはできない。そこで、E6系をベースとした7両編成で、可能な限り座席定員を確保した車両として、E8系が誕生することになったと考えられる。E8系のデザインはE6系と同じく奥山清行氏が監修した。
座席定員を確保するために犠牲となったのは先頭部の長さ。つまり東北新幹線宇都宮―福島間で最高時速320km運転を行わなければ、先頭部の長さを短くして、その分客室スペースを拡大することができる。
しかし、近い将来東北新幹線のフル規格新幹線車両はE5系に統一される予定で、さらに次期車両では最高時速360km運転も視野に入っており、現行の最高時速275kmのままでは、ダイヤ構成上の足かせとなる可能性がある。
そこでE8系では宇都宮―福島間の最高時速を300kmに引き上げ、これに合わせて先頭部の長さを9mとした。これはE6系の13mよりも4m短い。
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