たとえば、ある起点の小規模飲食料品店の売上高に、サンプルの前月比をかけていく。この数字は横ばいだったとしても、廃業が進んでいれば、推計を延ばした数字と実際の小規模飲食店全体の売上高との間にはズレが生じてしまう。規模別の数字のズレは、それを積み上げた業種別や小売業全体の伸び率にも影響する。
前回の更新で商業動態統計の推計起点となったのは、2006年度分の商業統計だ。その後、2011年、2013年の全数調査である経済センサスを起点として更新することになっていた。ところが経済産業省の担当課によると、「経済センサスは調査方法が違い、業種の分類が出来ないため、商業動態との間で断層が生じている」との指摘があり、見送られた。
しかし、他方で起点の2006年度時点からは経済の構造が変わっていることから、「このまま商業動態統計の推計を延ばしていいのか」との議論が浮上。直近の2015年経済センサスを調査方法の違いを勘案したうえで起点とすることにした。
「過去の数字は不変」は賃金統計でも問題に
従来、起点を更新する際には、過去の起点と新たな起点の間で変化が徐々に現れ今につながっているとして、過去の起点にさかのぼって数値を算出し直し、改定していた。ところが今回、新たな起点に基づく値は2020年3月に突然、登場した。説明には「公表数値の遡及訂正が与える影響を考慮して」過去の起点にさかのぼっての修正は中止したとある。
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