コロナの影響を見誤りかねない商業動態統計

政府統計の「過去は不変」という縛りは問題だ

小売業の各業種で、前年同月比の公表値と参考系列をもとに算出した値を比較した。

機械器具小売業に続いて差が大きいのは飲食料品だ。公表値では0.5%減だったが、参考系列で算出すると2.6%増。小売業全体でみると公表値と参考系列の前年同月比の差は0.7ポイントとなり、業種ごとのプラスマイナスが相殺された形だ。

なぜ、この大事な時にこのような差をもたらす統計の変更を行ったのか。新型コロナウイルス感染症の拡大は想定外とはいえ、もともと2019年10月に行われた消費税率引き上げから半年を迎える時期にあたる。6月に期限を迎えるキャッシュレス・ポイント還元策を継続するかどうかという点でも、消費動向は焦点となるはずだった。

起点の変更がそもそも遅れた

だが、この変更は「なぜ今」というより、「ようやく」といったほうが近いのかもしれない。というのも、本来であれば統計を実態に近づけるために行うべきタイミングを、2回見送った末のことだからだ。

商業動態統計の算出方法は、ある時点の業種別・従業員規模別の販売額(全数調査)を起点(ベンチマーク)として、その区分けに該当する調査対象(サンプル)の数値の前月比を掛けて推計を延ばしていくというもの。月々の業種別や小売業全体の販売額は区分けごとの販売額を積み上げて算出する。

起点となる販売額の全数調査は、数年に一度、構造を把握するために行われる。サンプル調査によって推計を重ねると次第に実態とのズレが生じるため、全数調査の年間の販売額と合わせることで、実態に近づけている。

実態とのズレはなぜ生じるのか。

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