野村克也氏が野球選手を目指した「本当の理由」 野村氏が選んだ“人生最大の戦略"とは?
一方、ハーバード大学で、史上最年少で正教授となり、書籍『競争戦略論』で世界的な知名度を持つマイケル・E・ポーター教授は、ビジネスを5つの競争要因に分類して解説しています。これが、世界的に有名な「ファイブフォース」です。
② 買い手の交渉力
③ 既存企業との競争
④ 代替品の脅威
⑤ サプライヤーの交渉力
ポーターの理論は、「参入障壁」を境にライバルが競争を繰り広げると考えています。彼が展開した競争戦略の基本とは、上記のファイブフォースをめぐり、A:「守る」自己の参入障壁を強化する、B:「攻める」競争相手の参入障壁を切り離すか無効化する、ことを目的としています。
あなたが新しい業界への参入を狙っている企業なら、古い企業から見て、あなたは「新規参入者としての脅威」です。彼らは自分たちが持つ参入障壁を最大限に強化して、あなたの参入を阻止します。一方で、新しく参入する側からすれば、古い企業の障壁は破壊すべき障害です。ポーターの競争戦略の基本は、大変シンプルなのです。
ポーターは、参入障壁をめぐる競争について、3つの立ち位置(ポジション)を獲得することを提唱しています。
「特別なサービス・製品のみに絞り込むこと」
② ニーズ・ベース・ポジショニング
「特定の客層ニーズをすべて満たす」
③ アクセス・ベース・ポジショニング
「物理的な環境に合わせて高い価値を生むサービス、製品を目指す」
重要なのは、特定のポジションの獲得で、より強固な参入障壁が手に入るかどうかです。上記の3つの戦略ポジションのうち、どれか1つで成功を収めたら、そのポジションをますます強化することで、ほかの企業がさらに参入しにくい状態を手に入れる。
組み立て式家具の世界的メーカーであるイケアは、「自分で組み立てる代わりに価格は極めて安い」という、特定の客層ニーズに集中しています。そうすることで、広い客層に売ろうとしているほかの家具メーカーでは実現が不可能な低価格で商品を販売でき、ますます参入障壁を強くすることに成功しているのです。
ポジショニングかリソースか、どちらが正解?
バーニーのリソース・ベースト・ビューと、ポーターの戦略ポジショニング。この2つを見比べると、素朴な疑問が湧いてきます。いったい、どちらの方法が本当の正解なのか? これは、1980年代に広く議論された話題でした。
アメリカの著名な戦略家、リチャード・P・ルメルトが1991年に発表した論文や、そのほかの実証研究から、現在では企業の持続的な競争優位への寄与度はポーターが約15%、バーニーが約45%、残りの40%は不確定要素とされています。
別の答えは、月並みではありますが、両方とも大切である、というものです。ビジネスの立ち位置も大切なら、独自の経営資源を生かすことも共に大切だとする結論です。
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