日本初!究極のヘリ訓練施設がテイクオフ 195の状況を再現、事故撲滅の一助になるか
シミュレータでは、そのような状況もすべて再現。画面上には海上ヘリポートや雪のふぶく山岳地帯、砂塵の舞う校庭、炎と煙に包まれた災害現場といった、さまざまな状況が映し出される。
たとえば、新雪が積もった直後の雪山への着陸は、ヘリのローターが粉雪を巻き上げ、視界が極端に悪くなる。
航空機の事故は、実に85%近くが運航上のミスに起因するという。設計・製造のミスは5%、整備上のミスは10%にすぎない。つまり、パイロットに十分な訓練を施せば、避けることができる事故も多いのだ。
しかし、空では予想もしないことが起こりうる。実機では再現したくともできない故障、たとえば空中で突然エンジンが停止したり、鳥が激突してきたりと、いくら頭で理解していてもとっさに反応できない事故も多い。滑空ができないヘリコプターは、エンジンが停止すれば墜落するしかない。
エアバス・ヘリコプターズ・ジャパンの業務本部、運航・訓練部長の安藤和宏氏によれば、一生に一度あるかないかという突発事態でも、それをシミュレーション上であろうと経験しているかどうかで、生き残れる確率が大きく変わるという。当面は、ヘリ運航会社のパイロットなどを対象とした高度な訓練に用いられる予定だ。
訓練後の復習で真価を発揮
ほんの10年くらい前までは、機体の取り扱い説明書と飛行規程のマニュアルを読むだけで、すぐに実機を飛ばしての訓練に移っていた。実機を使った非常事態訓練は、死に至る事故こそ少なかったものの、機体を損傷することも多かったそうだ。しかも、実機で訓練できる非常事態の設定はせいぜい10種。エンジンを停止する訓練など、できようはずもない。
そこで、実機ではできない訓練を、実機とほぼ同じ感覚で行うことができるシミュレータの登場となる。複雑な動きが要求されるヘリ用の本格的シミュレータは1基数億円と高価なこともあり、これまで日本国内には存在していなかったが、FFSを使えば、故障や非常操作が必要となる場面を195種類も再現できる。
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