夏の到来「日光と高湿に弱いコロナ」抑制の期待 それでも感染力ゼロにはならない点には要警戒

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呼吸器系の感染症の多くは、感染者が咳やくしゃみをするときに放出する飛沫によって拡散する。感染症の専門家によれば、空気が冷たく乾燥しているときは、こうした飛沫が空気中に長時間漂い、遠くまで到達し、より多くの人を感染させる可能性が高まるという。

米国土安全保障省のウィリアム・ブライアン科学技術局長代行は23日、政府の研究者らは、新型コロナウイルスの感染力が気温・湿度の上昇とともに、そして日光の照射によって弱まることを確認したと発表した。

新型コロナウイルスは、湿度の高い環境では消滅が早まるように思われる。米国の研究では、暗く乾燥した環境での実験においては、ステンレスなど通気性のない素材の表面でウイルス粒子の半数が機能を失うまでに18時間を要した。

高湿で日光が当たると2分で不活化

だが高湿度の環境では、ウイルス粒子の半数が不活化し感染力を失うまでに要する時間は、6時間に短縮された。高湿で日光の当たる状況では、半数が不活化するまでの時間は2分になった。

ジョンズホプキンス大学医療安全保障センターの上級研究員で米国感染症学会の広報担当者を務めるアメシュ・アダルジャ氏は、「ウイルスが周囲の環境によって影響されることは分かっている。多くのウイルスは、高温下や紫外線放射が強い状況では生き残れない」と述べている。

だがアダルジャ氏は、夏の気候条件によって、表面に付着したウイルスの生存能力を損なう可能性はあるが、それは人から人に感染しなくなるという意味ではない、と警告する。

ハンター氏は、「新型コロナ感染症が北半球の夏のあいだにかなりの程度抑え込まれる可能性は高い」という。

一方、「流行が再燃するかどうかは議論の余地がある」とハンター氏は言う。「夏のあいだにほぼ消滅し、冬になって再び現われても私は驚かない」

とはいえ一般論としては、免疫を持たない人が非常に多いだけに、新型コロナウイルスの感染拡大が「今後も続く可能性は高い」とアダルジャ氏は言う。

(Kate Kelland Manas Mishra、翻訳:エァクレーレン)

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