過酷な体験が自信に…肉食社員になろう! 無人島サバイバル訓練に、ひな壇トークの実習
「食のありがたみに気づきました。無人島で3日間過ごして自信がつき、同じ経験をした同僚とは仲間意識が芽生えたので、部署を横断するプロジェクトがうまく進むようになりました」
モテモテ海外協力隊員
企業はいま、“肉食系”の社員を育てようと躍起になっている。そこでニーズが高まっているのが、青年海外協力隊の経験者だ。国際協力機構(JICA)によると、経験者を採用したいという求人が増え、この5年で8倍になった。
毎年1200人前後が帰国するが、2013年度の求人は2506人で、2倍以上の求人倍率だ。人気の理由について、青年海外協力隊事務局参加促進・進路支援課の松舘文子さんは、
「語学ができるだけでなく、まったく知らない土地でゼロから信頼関係を築き、困難に立ち向かうタフな人材として評価していただいているようです」
JICAは、12年度から企業の若手社員や管理職を青年海外協力隊に派遣する「民間連携ボランティア制度」を始めた。これまで45社と合意を締結し、約100社が興味を示しているという。
身の丈超えない若者
企業が“肉食社員”を求めるのは、少子高齢化で国内市場が頭打ちになるなか、新ビジネスを始めたり、急成長する新興国に進出したりする際、突破力ある人材が必要だからだ。ところが見回すと、多いのは“草食系”の社員。理不尽な経験をせずに育ち、少子化で希望すればだれでも大学に進学できる時代の中で、おとなしくて従順な“草食社員”が増えているのだ。
人材ビジネスを手がけるウィルグループの人事担当部長、吉田博明さんは言う。
「いまの若い世代はやる気があって、成績も良く、非常にまじめ。だけど、身の丈を超える行動をしようとする子が少ない。昔は『上司を抜くことが恩返し』だったのに、いまは『上司を男にすることが恩返し』だという。変わったなぁと感じます」
ウィルグループは、11年から「チャレンジ公募制度」を始めた。困難だけどやりがいのある仕事の責任者を公募する制度で、社歴やポジションに関係なく応募できる。
「自分でポジションを勝ちとった社員は、圧倒的に前向き。勢いのある組織を作り上げます」(吉田さん)