コロナで留学中止が若者にもたらす大きな変化 この数年は急拡大を続けていた留学市場だが

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このプロジェクトは今後どのように展開していくのでしょうか。広報の西川朋子さんによれば、2025年までの5年間、トビタテ!留学JAPANの延長は決まっているとのこと。コロナショックの影響で金銭的な理由で海外留学を諦めようか検討している学生にとって、また自走できるグローバル人材が必要な産業界にとっても明るい話題といえます。

新型コロナは世界中の社会人・学生の多くに影響を与えています。留学生も同様です。短期留学のピークである2月・3月の春休みは、ほとんどの場合で渡航中止が相次ぎ、学生はもちろん保護者、全力で対応に当たった学校関係者、留学関係者にとって大変残念な事態となりました。

留学中の学生も多くが途中で帰国せざるを得ない状況となり、筆者もここまでの事態は経験がありません。留学においては、安全であることが大切な条件なので、一日も早い終息が待たれます。

一日も早く若者が知識と経験を積めるように

では、コロナ終息後(アフターコロナ)の留学はどうなるのでしょうか。筆者は次のような変化が起きると考えます。

① 教育ICTの進化によるバーチャル留学の普及
② 海外インターンシップなど短期の実践的留学の増加
③ 留学生数のさらなる増加

①新しい留学スタイルとして「バーチャル留学」が登場します。教育ICT分野に関しては、日本でも現在オンライン授業に移行しつつありますが、欧米のほうがはるかに進んでいます。日本にいながらにして、海外の一流校の授業が受ける事ができるシステムが、今後さらに充実しそうです。日本の学生も在宅授業に慣れてきているため、費用や時間を節約したいという学生のニーズにも合いそうです。

②オンライン授業が増える一方、座学では学ぶ事ができない海外の「経験」を重視する留学が求められてくるでしょう。グローバル就活のために海外のビジネス・カルチャーや実践スキルを短期間で習得したいというニーズが大学生を中心に増えそうです。また高校生で海外インターンシップを経験したいというように、より若い学生の参加が増えると考えます。

③現在、海外留学に行けない状況が続いていますが、安全が確保され、海外に渡航できる状態になった際は、留学希望者がより増加することも考えられます。

なぜなら、過去の2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)や2011年の東日本大震災で海外留学にストップがかかった翌年は、例年以上に留学生の数が伸びていたからです。今回の新型コロナウイルスの影響で外出が制限されている中、自身のキャリアや人生、幸福について考察した後に、どのような環境で活動したいか考え、留学という選択をする人も現れるでしょう。

不確実な時代で、もうコロナ前の世界には戻れません。ただ、世界のどこでも働くことができるスキルは不変のものだと筆者は考えています。

新型コロナの一日も早い終息を祈るとともに、一日も早く、若者が知識と経験を積むことができる日が来ることを切に願っています。

大川 彰一 留学ソムリエ 代表取締役

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おおかわ しょういち / Shoichi Okawa

日本認定留学カウンセラー協会幹事、TAFE Queensland駐日代表。1970年京都市生まれ。セールス&マーケティングに約10年間携わり、カナダに渡航。帰国後、留学カウンセラーとして4年間で約1000名以上の留学やワーキングホリデーに関わる。その後、米国の教育系NPOのアジア統括ディレクターとして約6年間、グローバル人材育成に尽力。海外インターンシップを大学の単位認定科目としての導入に成功、東北復興プロジェクト、アジアの国際協力プログラム開発にも携わる。現在は「留学ソムリエ®︎」として国際教育事業コンサルティングや留学の情報を発信。留学ソムリエの詳細はHPFacebookから。著書に『オトナ留学のススメ』(辰巳出版)。

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