コニカミノルタ「医療通訳」に本腰を入れる事情 訪日外国人増で病院や自治体で高まるニーズ

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縮小

KOTOBALはサービス開始からおよそ半年で日本郵便やメガバンクが相次いで導入している。開発に携わったコニカミノルタ・ビジネスイノベーションセンターの小笠原堂裕氏は「飲食店や量販店などと異なり、金融機関などは窓口で外国語に対応できないなど、外国人対応が遅れていた」と指摘する。

また、全国の自治体や行政にも導入が進み、雇用や生活情報に関する窓口で利用が始まっている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、工場などで外国人労働者が解雇されており、その対応で通訳サービスのニーズが高まっているからだ。

中核の事務機器事業は縮小基調に

コニカミノルタが通訳サービスという新規事業の開発を急ぐのには理由がある。中核事業である事務機器などオフィス向け事業をとりまく環境が厳しいためだ。2019年4~12月期でいうと、オフィス事業はコニカミノルタの売上高の55%を占め、営業利益も225億円と、他部門の赤字を補っている。ただ、ペーパーレス化の流れもあり、事務機器市場は縮小傾向にある。

さらに、新型コロナウイルスの拡大が拍車をかける。感染防止のため在宅勤務が広がり、オフィスに設置されている複合機の稼働率が落ちている。新型コロナウイルスが収束しても、いったん普及したテレワークの影響が残ることも考えられ、オフィス向け製品の需要が元に戻る保証はない。

これまでも「脱・事務機」を掲げ、新規事業の育成に取り組んできた。オフィスに設置可能なサーバー「ワークプレイスハブ」によるデジタル事業や遺伝子検査などのバイオヘルスケア事業は、新規事業の2019年4~12月の業績は148億円の赤字を計上。

バイオヘルスケア事業は研究開発費が先行しており、収益化は当面先になりそうだ。デジタル事業も欧米を軸に顧客数が増加しているが、当初計画を大幅に下回っている。通訳サービスの年間売上高も数億円程度とみられ、業績への寄与はまだほとんどない。

縮小が続く中核事業に代わり、新たな成長事業の芽が出るか。通訳サービスはその試金石といえそうだ。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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