エプソンが「ペーパーレス時代」を勝ち抜く条件

インクジェット式でレーザー式を打ち破る

セイコーエプソンはインクジェット式プリンターで、インク代依存のビジネスモデルから脱却しようとしている(撮影:今井康一)
プリンター本体を赤字同然で安く売り、消耗品のインクを高く売って収益を得る。高いインク代は消費者にとって頭の痛い問題だが、そのプリンター業界が数年前から大きく変わりつつある。
セイコーエプソンは、本体価格が高い分、大容量のインクタンクを搭載してインク代を安く抑えられるインクジェットプリンターを新興国を中心に2010年10月から展開。インク代に依存したビジネスモデルから脱却しようとしている。
2019年3月には新たな中期経営計画を発表し、2年前から本格的に取り組んできたオフィス向け複合機を軸にした成長戦略を掲げた。オフィス向け複合機は富士ゼロックスやリコー、キヤノン、コニカミノルタなど日本の大手企業が激しいシェア争いをしているレッドオーシャンだ。各社がレーザー方式を採る中、新規参入組のセイコーエプソンは得意のインクジェット式で挑む。
デジタル化の進展でペーパーレス化が進み、プリンター各社を取り巻く経営環境は厳しさを増している。インクジェットの「異端児」エプソンは何を目指しているのか。2008年6月から経営の指揮を執る碓井稔社長に尋ねた。

印刷コストに悩まない環境にしていく

――インクカートリッジ依存のビジネスモデルから、なぜ脱却しようとしているのですか。

カートリッジという消耗品を高く買わせて儲けてきたという「悪いイメージ」をなくしていきたい。エコタンク(エプソンが販売する大容量インクタンクモデル)をはじめとした、消耗品に依存してきた旧来のモデルを根底から変えていく。

そもそもプリンターは印刷するための機械だ。にもかかわらず、コスト面で印刷を躊躇させている。それはプリンターの存在意義に反している。テレビやスマホは電源を入れて使うかどうかで悩む人はいない。仮にスマホが1分使用でいくらかかるというような料金体系なら誰も使わないはずだ。

プリンターを使うかどうかで悩むのは自分たちがやってきたビジネスモデルに問題がある。コストに悩まず、思う存分印刷できる環境にしていくことは、プリンター製造メーカーにとっても悪いことではない。

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