エプソンが「ペーパーレス時代」を勝ち抜く条件

インクジェット式でレーザー式を打ち破る

――ペーパーレス化で印刷の需要自体が減少しています。

特別に大きく減っていると思っていない。紙は一覧性が高く、紙ならではのメリットがある。情報を取得するプロセスで印刷するかデジタルデバイスで表示するかは各自が選択すればいい。印刷しないでパソコンだけで仕事する人が多数かといえば、そのようになっていない。

世界的にもデジタル化が先行しているのに紙に出力する地域もある。例えば、中国などのアジア諸国では学校の宿題はデジタルデータで送り、自宅で紙に印刷して宿題をやる地域もある。デジタル環境でも印刷するという行為は残っていく。

レーザープリンター市場に入り込めなかった

――前中期経営計画で「2018年度の売上高1兆2000億円」を掲げましたが、目標に届きませんでした。本当にペーパーレス化の影響はないのでしょうか。

デジタル化によるペーパーレス化の進展よりも、オフィスを中心にインクジェットプリンターがレーザープリンターにとって代わることができなかったことが最大の理由だ。

碓井稔(うすい・みのる)/1955年生まれ。1979年入社。生産技術開発本部長、研究開発本部長などを経て、2008年6月に社長就任(撮影:今井康一)

エプソンは2年前からオフィス向けのインクジェット複合機を本格展開し始めた。ただ、オフィス向けが強い大手メーカーは強固な販売ネットワークを持っており、契約期間も3~5年と複数年で結んでいる。入り込む余地が少なく、思ったよりも複合機を拡販できなかった。

現在主流のレーザー式と比較してもインクジェット式は高速で印刷でき、消費電力も約8分の1など環境性能もいい。当然コストも下げられ、消耗品の交換数も少なくて済むので優位性は高い。商品そのものの魅力度は理解されつつある。

(キヤノンなど)他社でもオフィス向け複合機でインクジェット式を投入し始めた。自動車がガソリン車の次は電気自動車(EV)だと思われているように、プリンターではレーザー式からインクジェット式に変わっていくという流れが始まってきた。

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