そして、単なる片づけ推奨番組に終わらない演出も見どころにあります。今時のリアリティショーらしく、こんまりが訪問する家族の人選に多様性を持たせ、それぞれの素顔と社会的背景がみえる内容にも仕上がっています。ハリウッド業界で名を馳せる凄腕女性クリエイター、ゲイル・バーマンが番組のエグゼクティブプロデューサーとあって、その辺りも抜かりがないです。
日本人も参考になる「ロスの片づけ4人家族」
シリーズは全8話で構成され、人生の岐路に立った全8組の家族それぞれを1話ごとに密着していきます。
新婚カップルや第1子の出産を控えた夫婦、育児奮闘中の働くパパママ、引退生活に入る熟年夫婦、第2の人生を望む未亡人などが紹介され、共感できそうな話数から見始めるのもいいでしょう。その中で、日本人が最も参考にできそうな話数が「3話目:ダウンサイズ」です。
寝室が4つあるミシガン州の豪邸からロサンゼルスの手狭なアパートに引っ越してきたその家族は、日本の住宅事情と似通ったサイズの住まいだからです。そこで映し出されるのはリビングルームもキッチンも、主寝室も子ども部屋も物であふれ、片づけられないまま。
子どもたちもパパまでも、見つからない物があれば「ママに聞けばいい」と母親1人に頼りきり。そんな子どものしつけも夫婦問題も同時に悩まされている状態から、家族全員が物理的にも精神的にもときめく住まいへと変貌するマジックを見せてくれます。
番組が配信されたばかりの頃、大きく注目を集めた一方で、あるシーンがアメリカで物議を醸したこともありました。読書家の一部から「ときめくか、ときめかないか、その2択で所有する本の運命を決めるのはナンセンス。本の廃棄を一時の感情で選ばせるべきではなかった」といった避難の声が上がったのです。
本に限らず、服や小物、思い出の品であっても自分に適したやり方はあるものです。自分のときめき方にもこだわりながら、片づけに取り組むことが大事なのかと思います。
そして、ここにきてこんまりの注目度が再び上昇しています。コロナウイルス感染拡大防止のためにロックダウンが続く海外では「Kondo-ing」が含まれるツイートが多くみられます。こんまりに再びフォーカスするメディアも増え、イギリスの経済誌フィナンシャルタイムズの4月1日の記事では、働く世代に向けて書かれたものがありました。
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