コロナ後の過剰流動性がもたらすインフレ圧力 無制限の経済対策が生むコロナ後の禍根

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人は消費者および労働者として、命と健康が守れれば、いつでもその立場で経済活動ができる。しかし、世の中の経済活動は個人間(現代流に言えばC to C)ばかりで成り立っているわけではない。むしろ、労働者として企業に勤めて所得を稼ぎ、消費者として企業が供給する商品やサービスを購入する。経済活動の大半は企業と人との取引(B to C)である。

経済活動を成り立たせる結節点に企業がある。「企業は社会の公器」などと呼ばれるのも、そうした側面を言い表しているとも言えよう。この観点から見れば、不健全な経営状態の企業まで残すとは言わないが、企業の存続を支援することは、コロナショック後の経済回復をしっかりとしたものにするためにも大切なことである。

コロナ後の過剰流動性に要注意

政府の経済対策は企業の資金繰りも支援している。ただ、コロナショック後を見据えて気をつけるべき点がある。それは、過剰流動性である。経済活動が正常なときと比べて、現預金などの流動性が過剰に供給されている状態である。

企業は、ショック前にも日常の経営に必要な資金を調達していたが、現在はそれに加えて窮地をしのぐために資金供給を受けようとしている。

確かに、政府の資金繰り支援は、コロナショックを乗り越えるために目先必要なものだ。ほぼ無利子で供給され、感染収束がいつになるか見通せないことから、融資期間も長めに設定されている。

しかし、お金に色はない。感染拡大防止のために経済活動を止めている間は売り上げが立たず、その資金は企業の存続に必要な固定的な支出などに充てられる。従業員への給与支払いやオフィスの賃借料などだ。その結果、企業の資金繰り支援の名目で供給された資金が世に出回り、感染拡大防止によって経済活動の実態がなくなっている中で、通貨量は増えることになる。

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