心に響きまくる「鬼滅の刃」心理学から見る凄み ビジネス・プライベートに効く人生の教科書
『鬼滅の刃』については、もう今や説明はいらないかもしれません。2016年の春に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載がスタートしました。2019年4月から始まったアニメをきっかけに人気に火がつき、今では”国民的マンガ”のひとつに数えられています。
社会現象も巻き起こし、コミックスや関連グッズは飛ぶように売れています。コミックスのシリーズ累計発行部数は4000万部(2020年1月現在)を突破。アニメの主題歌『紅蓮華』も大ヒット。コスプレはもちろん、髪色や髪形をまねするなど、キャラクターになりきりたいと思うファンたちが続出しています。「鬼滅ブーム」の勢いはとどまるところを知りません。
物語の舞台は大正時代。家族を鬼に皆殺しにされた主人公・炭治郎が、唯一生き残ったが凶暴な鬼になってしまった妹・禰豆子を人間に戻し、また家族を殺した鬼を討つため旅立つというところから話は始まります。大きな見どころは、さまざまな人々との出会いや、鬼たちとの戦いを経験しながら、人間として成長し、強くなっていく炭治郎の姿。
立ちはだかる壁が大きくなればなるほど戦いは厳しくなりますが、なにごとにも正々堂々と挑み、最後まであきらめない姿勢を崩さない炭治郎は、自然と見る者を応援したくなる気持ちにさせます。
現代人が忘れかけていることを思い出させてくれる
炭治郎が直面する現実は、理不尽なことだらけ。悲しみが深く、絶望と隣り合わせ。乗り越えても乗り越えても、大きな壁が立ちはだかる。それでも、炭治郎は前を向き続けるのです。実は、そんな炭治郎の言動や行動は、問題を解決したり、状況を好転させたりするためのヒントに満ちあふれています。現実社会において、みなさんも、大なり小なり理不尽に感じる場面に遭遇することはあると思います。
炭治郎と、彼をとりまく人たちの生き方、考え方、関係性は、私たちが生きていくうえで大切なこと、良好な人間関係を築くうえで必要なことを教えてくれます。
炭治郎を中心にした登場人物たちの言動、立ち居ふるまいは、現代人が忘れかけているけれど、実は当たり前のこと、やってしかるべきことが多いのです。舞台が大正時代ということもあり、古きよき日本人の美しい心を大切にしているところが感じられます。
・人間は決して1人では生きていけないという現実
・相手を認め、敬い、大切にしようとする姿勢の重要性
『鬼滅の刃』は、私たちが当たり前のように思っていながらも、普段なかなか意識することのできない「人生の真理」のなんたるか、人間の強さをこれでもかというほど示してくれます。
象徴的なのが、『鬼滅の刃』のキャラクターが紡ぎだすセリフです。彼らの言葉は、どう生きるべきか、どう考えるべきか、どう選択すべきか、そういった指針がストレートに表現されており、強く強く、われわれの心に刺さってくるのです。
例えば、主役の竈門炭治郎の次のセリフ。
(『鬼滅の刃』2巻第13話「お前が」より)
炭治郎が、婚約者が鬼に喰われたことを知りショックを受ける青年にかけた言葉ですが、私たちの心にも、優しく、でも厳しく呼びかけてきます。
理不尽な現実は変えられない。それに絶望せずに次の1歩を踏み出す。それが私たちに課せられた運命である、と。そんなことはわかりきっている、それでも心が折れそうになるときはある、と思うかもしれませんね。
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