コロナ禍の今こそ問われる「プロ野球の真価」 阪神の藤浪は世間から大きな批判を浴びたが

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例えばMLBでこのような事件が起こった場合、非難を受けるとすれば選手だけだ。球団は選手の行いが容認できるレベルでないと判断すれば解雇する。MLB機構からの指示があればRestricted List(制限リスト)に入れる。それだけのことだ。

最近の日本では、終身雇用も年功序列も崩れ、会社と社員も、絶対的な支配被支配関係ではなくなっているが、NPBの球団と選手の間には、あたかも「昭和の会社」のような関係性が残っている。

若手選手は「球団寮」に入る。寮には選手上がりの寮長がいて、起床から就寝まで選手の生活を監督している。朝は全員で体操をしたりする。門限もある。球団はあたかも「保護者」のように選手を管理監督している。

若者に規律ある生活をさせることは良いことのように思うかもしれないが、彼らは少なくとも高卒以上の「社会人」だ。自らの行動の責任を全面的に負うことができるはずだ。

藤浪の件で球団にも非難の矛先が向いたのは、こうした球団と選手の関係性を世間が容認しているからだが、それも含めて考えさせられる事案だった。

MLBやNPBはどんな対応をしたのか

今回の新型コロナウイルス禍で、MLBもNPBも活動停止を余儀なくされた。しかし、それ以後の日米の球団の対応は大きく異なった。

MLBは3月15日、各選手にキャンプ地残留、本拠地で調整、帰宅の3つの選択肢を与えて解散した。あとは自己の判断である。選手達は活動停止中も「コンディションの維持、向上」をする義務がある。それができなければライバルにポジションを奪われる。そういう意味では、休んでいる間も競争をしていることになる。プロとしては当然の話だ。

一方、NPBでは、開幕が延期になってからも、球団が選手の練習を管理している。各球団からは「何日から全体練習再開」とか「自主練習用に球団施設開放」などの情報が発信される。「国民一人ひとりの行動変容を」とやかましく言われている中で、少人数にせよ選手が集まって練習をしているのである。選手から「練習環境を提供してほしい」と言う声も上がったという。

最近、海外のトップアスリートは、ファンに向けてSNSなどで「Stay Home」などのメッセージを発信し始めている。自宅でのトレーニング風景なども紹介している。カブスのダルビッシュ有などもその一人だ。またメジャーリーガーの中には、地域医療の支援をしたり、球団スタッフやマイナー選手のサポートをする選手も出てきている。

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