機関投資家部門は、貸出による収入の減少で投資銀行関連の収益は減少したが、債券と株式の手数料収入が大幅に増加したことが奏功し、資本市場関連サービスの収益が前年同期比37%増と大きく伸びた。準備金・引当金を大幅に積み増したが、それでも部門利益は増益となった。
一方の消費者部門は預金取扱高が増え、住宅ローン収益とカード収益も増加したが、利ザヤの縮小で相殺された格好となり、部門収益は前年とほぼ同水準にとどまった。こちらは引当金を大幅に積み増した結果、部門利益は赤字となった。
こうしたことから、全体では10%を超える増収となったものの、利益は大幅な減益となった。
医薬業界も順風ではない
収益の柱である医薬品は、アメリカ国内・外ともに売上高が伸長した。乾癬治療薬「ステラーラ」や腫瘍治療薬「イムブルビカ」などが好調に推移したほか、コンシューマーヘルス部門は特にアメリカでコロナ関連商品を中心にフランチャイズ製品が増加した。
2020年通期の見通しについては、1月に公表していた数値を大きく変更。前期比5.0~6.0%増としていた売上高は同3.0%減~0.5%増に、9.00~9.15ドルとしていた1株利益は7.65~8.05ドルへと、それぞれ引き下げている。
同社は新型コロナウイルスのワクチン開発も進めており、今年9月までに臨床試験を開始し、2021年初めには緊急使用の認可を得られる予定と発表している。
各種の医療保険・サービスを提供するユナイテッドヘルスケア部門は、高齢者向けのメディケア関連の収益が大きく増えたのを筆頭に、個人向けサービスなども堅調で、部門収益は前年同期比で増加した。
もう一方の柱である医療情報サービスのオプタム部門は、医療サービスのネットワーク提供を行っている「オプタムヘルス」の加入者増による収入の増加、医療関係者向けに各種システムやサービスを提供する「オプタムインサイト」の収入増などが寄与。ただ運営コストの増加もあり、全体では小幅ながら減益となった。
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