日経平均2万円接近でも過熱とは言えないワケ 株価がコロナ感染者増でも上がっている「謎」
突然のコロナウイルスの感染拡大は人の動きを止め、景気や企業業績の悪化を招き、それが金融不安にまで発展して行くという悲観展望を形成した。
しかし、世界の中央銀行が無制限に資金供給をし、リーマンショックの経験からCP(コマーシャルペーパー)まで買い上げる政策を表明したことで、少なくとも金融不安は無くなった。金融株が下げているのは、貸倒引当金の積み増しによる業績悪化という個別企業としてのネガティブ要因であり、金融不安を前提としたものではない。
今の相場は景気と企業業績の数字だけに対応することが基本になった。当然、景気や企業業績の数字は、コロナウイルスの現状と収束見通しによって大きく変わる。従って、株価の先見性から考えると、「収束見通し」が最も重要ということになる。
ただ、現状のコロナウイルス感染による景気や企業業績の落ち込み度合によっては、収束後の回復力が違って来る。そのため、コロナウイルス対策の成果、つまり現状の景気や企業業績の数字を見るということも、もう一方の柱となる。
現在の相場は、コロナウイルス収束時期と景気や企業業績の現状の2つを見ながら展開しているので当たり前の理屈だが、不透明な現状を重要視する投資家には、「株価の先見性」という不確定な分だけ違和感となる。
「短期は過熱でも長期では過熱でない」理由とは?
違和感の理由は、株価と移動平均線の乖離でも証明できる。日経平均株価は先週の急騰で、対25日移動平均上方乖離率は7.63%と過熱ともとれるゾーンに進んで来た。しかし、75日移動平均乖離率はマイナス7.14%だ。つまり、「短期的には売りだが中期的にはまだ買い」というシグナルとなって、投資家を迷わせている。
4月初め(1日~6日までの4営業日)に1万8000円割れの2番底を取る過程で、25日移動平均下方乖離率はマイナス6.3、6.69、5.87、1.34%と動いた。
その間、より長期の75日移動平均下方乖離はマイナス18.53、19.37、19.09、15.42%となっており、その差は12.22、12.68、13.22、14.08ポイントで、4営業日目で最大14%もの差がついてしまった。
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