原油価格が新型コロナ不況でも上昇する理由 米国ガソリン需要半減でも価格は反転する?

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新型コロナの影響でアメリカのガソリンの需要はほぼ半減。だが今後原油の価格は上昇する可能性があるという。それはなぜか(写真:AP/アフロ)

4月9日から緊急会合を開いていた「OPECプラス」(石油輸出国機構と非加盟の主要産油国で構成)は12日、日量970万バレルという歴史的な規模の減産で合意した。減産量は世界の通常の需要から見て、約10%程度になる。

キリスト教の国に関してはイースター(復活祭)の休暇を返上してまで行った会合だ。結局、4日間の長丁場となったが、2018年10月時点の生産量を基準に「それぞれの国が23%の生産削減」という方向で進められた。

原油先物価格がさほど上昇しなかったワケ

最終的にはOPEC加盟の13カ国が合計で613.7万バレル、ロシアなどの非加盟の産油国10カ国が364.6万バレル生産を減らすことで合意が成立した。一時はメキシコが自国に割り当てられた40万バレルの減産を拒否、10万バレルにとどめるように主張。話し合いが平行線をたどる中で合意が見送られるとの見方も浮上した。

しかしながら、最後はアメリカのドナルド・トランプ大統領がメキシコの減産分のうち30万バレルをアメリカで肩代わりする意向を示したこともあり、かろうじてアジアでマーケットが開く直前にまとまった。

会議は新型コロナウイルスの感染が拡大している中、テレビ会議システムを使って行われた。OPECプラスの減産は5月1日から有効で、6月末まで2カ月間にわたって行われる。その後、7月1日から12月末までの6カ月間は日量770万バレル、2021年1月1日から2022年4月末までの16カ月間は日量580万バレルと、徐々に減産幅を縮小しながらも、合計で2年間に及ぶ、長期の減産合意を結ぶことになった。

このほか、非公式ながらもサウジアラビア、UAE、クウェートの3カ国は合計で200万バレルの割り当て枠を超える自主的な減産を行うと発表。またアメリカ、カナダ、ブラジルは価格低迷による自然な減少という形で、370万バレル生産を削減することを約束したほか、それ以外のG20国も合計で130万バレルの減産を進めるとした。これだけの量の減産が1回の会合で合意されるのはもちろん初めてのことだ。

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