原油価格が新型コロナ不況でも上昇する理由 米国ガソリン需要半減でも価格は反転する?

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もっとも市場の反応は、極めて限定的なものにとどまった。週明け13日にはNY市場のWTI原油先物が早々に1バレル=24ドル台まで買い進まれたものの、早々に息切れ。その後は軟調な相場展開が続き、15日には一時19.20ドルと18年ぶりの安値を付けた。

OPECプラスによる970万バレルの減産合意以外は正式な発表はなく、減産開始の時期などの正確な情報にも乏しいことから、実際にこれだけの大幅減産が順守されるのかといった不透明感が残った。また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う航空便の運行停止などの人々の移動の制限、世界的な景気減速の影響などによって需要は日量2000万から3000万バレル減少するとみられている。

よって、これだけの減産が実現したとしても、世界需給は引き締まってこないとの見方が弱気に作用しているものと思われる。

アメリカではガソリン需要が「ほぼ半減」

アメリカ内の需給バランスが、極端な供給過剰となっていることも、相場の大きな重石となっている。アメリカのエネルギー省エネルギー情報局(EIA)によると、4月3日までの1週間のアメリカ内ガソリン需要は日量506.5万バレルとなった。3月13日までの週には日量969.6万バレルあったにもかかわらず、わずか3週間で半分近くに需要が減少してしまった格好となる。アメリカは、言わずと知れたクルマ社会である。

新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるために外出禁止例が出され、人々が家の中に閉じこもってしまった以上、自動車の使用も、ガソリンの消費も大幅に落ち込むのは当然の結果だろう。これを受けてアメリカ内の製油所も、稼働を極端に落とさざるをえなくなった。製油所稼働率は3月13日の週に86.4%だったのが、4月3日の週には75.6%まで落ち込んでいる。

製油所が稼働を止めたのは、やはり需要が落ち込んだガソリンを生産する割合の多いユニットと推定される。製油所で生産される石油製品全体におけるガソリン生産の割合は、やはりこの3週間で61.4%から40.9%まで急低下している。通常ならアメリカ人の生活になくてはならないガソリンは、今や極端に言えば「誰も必要としない無用の長物」になっており、在庫が大幅に積み上がる中で価格も急落している。

こうした状況下で割を食うのは、シェールオイルなど、ガソリンを精製するのに適している硫黄分の低い軽質油と呼ばれる原油の生産業者となる。価格下落によって採算割れに陥り、深刻な経営危機に瀕しているシェールオイルの生産業者は、ガソリン需要の減少の影響を、どこよりも大きく受けている。

4月1日には中堅どころのホワイティング・ペトロリアムがアメリカ連邦破産法11条の適用を申請、経営破綻したが、今のような価格低迷が続くなら、シェールオイル業者の破綻が相次ぐ可能性は極めて高いと言わざるをえない。

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