現金をおろすときは3万4000円、小銭入れは持たない--『節約の王道』を書いた林望氏(作家・書誌学者)に聞く
--現金をおろすときは3万4000円とも。
たとえば、3万円をちょっきりおろしたとする。すぐ1万円札を崩さなければならなくなる。1万円札を崩したらなくなるのはアッという間。一度、崩れると思いがけなく早くなくなる。別に浪費しなくても、人間心理はそういうものだ。だから、できるだけ1万円札を崩したくない。
そうすると3万円おろすなら、3万5000円おろすと5000円札がきて同じことなので、3万4000円にする。1000円札が4枚くる。人間心理としては、この4枚をできるだけ大事に使いたいと思うようになる。万札を崩したくないからだ。そうなると、自然と節約する意識ができてくる。
別にそんなに無理をしなくても、自然な意識でいつの間にかおカネを節約できていたというふうにするには、ちょっと知恵を使ったほうがいい。その知恵の一例が3万4000円。4000円ぐらいだと、使い道があるようで使いでがない。そのへんのところで自然と自分をケチに追い込んでいくのがいい。
--小銭入れも持ち歩かないと。
おつりの小銭は、ハダカでズボンのポケットに入れ、使い残ったものは家に帰って貯金箱に入れてしまう。これを毎日やっていると、1年もたつと10万円ぐらい貯まる。それはまったくフリーハンドで使っていいおカネだから、それで女房と1泊温泉にでも行けば1人5万円の豪遊ができる。どうかすれば5万円でグアムへ2泊3日で行ける。力ずくでやらなくても、いつの間にかなんとなくおカネが貯まるように、無駄をしなければいい。
--教育のテーマにも、かなりページを割いています。
おカネがあって、ものに投資しても、何も確実ではない。いちばん確実なのは自分の子どもへの教育投資を惜しまないことだ。そこで、差が出てくる。