現金をおろすときは3万4000円、小銭入れは持たない--『節約の王道』を書いた林望氏(作家・書誌学者)に聞く
そうすれば改めて買い物に行く手間はいらないし、こっちのマーケットが5円安い、あっちは10円安いといって出歩くようなら、その時間と労力は大いなる無駄というものだ。それは人生の浪費とさえいえる。
またそうなれば、実際家計簿などつけるまでもなく、食費は一定以上にならない。そういう賢い知恵を使って時間を節約しつつ、結果としておカネも節約できる。
--車移動を評価しています。
案外と盲点だったのが自動車に乗ること。多くの人が車で行くより電車のほうがカネはかからないと思い込んでいるが、意外とそうではない。ましてこれから電気自動車の時代になると、圧倒的に経済的になる。車なら、自分ひとりの快適な空間の中で音楽を聴いたりしながら、風邪をうつされる危険性もない。具体的に検討してみると意外なことが浪費になっていて、意外なことが節約になる。この本はその「意外集」というところもある。
--マンションは6階以下に住めとも。
私の人生の標語に、人生にはどんなことでも起こる、というのがある。大災害に遭わなくても、病気になる可能性はある、半身不随になるかもしれない。人間はできるだけ高い所には住まないのがいい。私の父は93歳だが、家は2階に食堂がある。父は別棟に住み、食事のときに呼びにいくが、2階まで上がってくるのがたいへんだ。ましてや25階だ、30階だとなれば、精神的にも悪い影響があるのではないか。
--衣服は値段でなく、着心地のいいもののまとめ買いとか。
私はセンス・オブ・プロポーションと盛んにいっている。人間、バランス感覚が狂ってくると、いけない。買い物は高収入であろうと低収入であろうと、バランスがとれていればそれでいい。プロポーションが大事だ。身のほどを知らないほどのカネを使うから破滅する。サラ金などはそのいい例。足りない分をサラ金で借りたら、元から足りないのだから返せるわけがない。借金をするな、とこの本に書いている。