トランプがコロナ抑止へ米国民に求めた"修行" 東京がNYの"二の舞"にならないためには?

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今後、理想的な新ワクチンが生まれるまで、何年もの間、看護師や軍のコロナ問題関連部隊など特定の専門家集団だけに、重い負担とリスクを押し付けてはおけない。そういう状況は長続きしないと、トランプ大統領はみているに違いない。 

ニューヨークの二の舞をどう避けるか

トランプ大統領は、一般市民の行動自粛・制限について、手を洗う、顔を触らない、他人とは6フィート(約2メートル)離れる、など誰にもわかりやすい説明をしている。日本でも、手洗い、うがい、マスクなどのほか、「3密」(密閉空間、密集場所、密接場面)に注意すべきと、強く要請されている。

いまのところ、ニューヨークほどの感染拡大にはなっていない。しかし、感染爆発、医療崩壊のリスクは依然として大きい。

実は、アメリカで感染拡大が最も恐れられていたのは、カリフォルニアだった。ところが、クルマ社会のカリフォルニアはこれまでのところ、ウイルス封じ込めに成功している。

東京、大阪など日本の大都市は、ニューヨークと同じように通勤電車が一般的だ。日本では、4月7日に緊急事態宣言が出されてから、山手線などの通勤電車で満員になることは少なくなったが、それでも一部の時間帯の列車はほんの狭くしか窓が開かない車両に通勤客がすし詰めになり、ものすごい感染リスクを背負っている。

ウイルスはくしゃみやせきによって飛散し、電車内で読書する人や、携帯に夢中になっている人の目の粘膜からも感染する可能性がある。窓を全開するか、少なくとも半開できれば、車内の換気はよくなる。同時に、時差出勤をより徹底し、通勤時の満員状態を改善すべきだろう。ニューヨークの二の舞は是が非でも避けなければならない。

日本では、アメリカやヨーロッパのような「握手」や「ハグ」の習慣はない。通勤電車の密閉空間が改善されれば、コロナ感染リスクはかなり抑え込むことができるはずだ。確率的に「期待値は非常に高い」と言えよう。通勤地獄がなくなれば、働く人の気分も明るくなり、日本社会の閉塞感も減っていくだろう。

湯浅 卓 米国弁護士

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ゆあさ たかし / Takashi Yuasa

米国弁護士(ニューヨーク州、ワシントンD.C.)の資格を持つ。東大法学部卒業後、UCLA、コロンビア、ハーバードの各ロースクールに学ぶ。ロックフェラーセンターの三菱地所への売却案件(1989年)では、ロックフェラーグループのアドバイザーの中軸として活躍した。映画評論家、学術分野での寄付普及などでも活躍。桃山学院大学客員教授。

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