「コロナパニック売り」後の相場はどうなるのか 途方もない恐怖の後に待ち受ける相場の行方

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このようにパニック売りが一巡したとみられる背景には、日米欧など主要国の政府や中央銀行が、積極的な資金繰り対策を打ち出していることが挙げられる。

たとえばアメリカでは、連銀が利下げや国債買い入れだけではなく、民間銀行経由で、CP(コマーシャルペーパー)、社債(低格付け債の一部を含む)、銀行から企業向けの貸出債権なども買い入れる策を打ち出した。

こうした策は、将来米連銀の保有資産の劣化を引き起こす恐れはある(その点では、FED(米連銀)が日銀の株式ETF(上場投資信託)買いなどを批判できるような事態ではなくなったとも言える)。それでも、非常事態における緊急策として、今のところ市場が好意的に評価したと言えるだろう。

日本の株式も底値圏を継続

一方、日本の株価動向は、アメリカ株の動きの影響が強いことから、日経平均も今後実体悪を確認していく第2波の下落局面に入る展開が、否定できない。それでも、やはり第1波の最安値を大きく底抜けることにはなりにくいと見込む。

では「そうした底固めの展開」がどこまで続くかというと、今の日経平均の反転上昇が一気に持続するというより、長い間底値圏を上下動する、ということになりそうだ。

というのは、実体悪は、3月までの経済統計や企業収益が発表される5月あたりまでがポイントだと当初は考えていた。だが、新型コロナウイルスの流行が長引いており、4月や場合によっては5月も、景気や企業収益への影響が強く残りそうだ。加えて、企業の決算発表時期も後ずれすることが懸念される。

新型コロナウイルスの流行の「傷跡」をしっかり確認し、その局面を抜けて株価が上昇基調に復するまでは、我慢の時期となりそうだ。ただ、そうした株価底固めの間は、じっくりと何を買うのかを検討し、少しずつ現物の個別銘柄や株式投信などを買い溜めて、市況の好転に備える時期とも言えるだろう。

季節は春かもしれないが、「熊」(弱気相場)が支配する今の局面は、たっぷりと栄養を取って(現物を仕込み買いし)、しばらく「冬眠」しながら(目先の市況変動に一喜一憂せず)、「相場の春」(将来の上昇相場)に備える時なのだろう。のんびりゆっくり株式投資に取り込みたいところだ。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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